第12話 楽しい仕事と忍び寄る影

約束通りに再び冒険者ギルドにきた。


ルルとメメはもう既に酒場で飲み物を飲みながら待っていた。


「遅れてごめん」


「全然待って無いよ!」


「そうそう、いつもならメメはもっと遅いから大丈夫だよ!」


「ルル、何を言っているのかな? メメはいつも約束より遅れたりしないよ!」


「まぁそういう事にしておくか」


「酷い! セレスさん、メメは遅刻とか滅多にしないんだよ!」


「うん解かっているから大丈夫だよ」


「ルル、余り変な事言わないでよ、セレスさんが信じちゃうからー」


「はいはい、メメは滅多に遅刻しないよ? うん3回に1回位しかしないよ? これで良い」


「ルルー」


誰かが一緒だとこんなに楽しいんだな、倉庫整理の仕事は基本オジサンしか居なかったからね。


そう考えたら、同い年位の仲間がいるバイトを選んだ方が楽しかったかも知れない。


「さぁ、そろそろ仕事に行かない?」


「そうだね、メメをからかってもお金にならないしね」


「ルルーやっぱりからかっていたんだね...うん行こう」




三人は楽しく話しながら薬草採集に向かった。


森に入ってからも楽しく話しながら歩いた。


そして、昨日とは違った薬草の採取地についた。


「あれっ、ここは湿地帯じゃ無いんだね?」


「うん、ここが実はルルたちの秘密の採取地なんだ、昨日の場所は他のパーティーも知っている場所だけど、ここは多分、ルル達しか知らないと思う」


「そんな所に連れてきて貰って良かったの?」


「セレスさんは特別! 他の人には絶対に教えたりしないんだから...教えちゃ駄目だからね!」


「ルル先輩、メメ先輩、解りました...絶対に教えたりしません!」


「宜しい」


「何かメメが偉そうなんだけど、此処見つけたの私だからね!」


「あれ? そうだったかな? 此処見つけたのはメメじゃなかったかな?」


「メメー怒るよ?」


「嘘うそ、冗談だよ、うん」


「もう」



いつもの様にルルが周りを警戒しながら薬草の採取が始まった。


だが、ルルはセレスが気になって仕方が無い、メメと楽しく話している姿を見るとどうしても警戒を怠り、そっちに意識がいってしまう。


ルルとメメは大きなミスをしていた。


ルルやメメより上の階級や永く冒険者をしている者がいる、そういった存在が街からこんなに近い穴場を見逃すだろうか? 普通は見逃がす訳が無い。


もし、ルルやメメが友人に他の冒険者が居たら、これから起こる悲劇は防げていたかも知れない。


いや、せめてソフィにだけでも報告していたら、ここに人が来ない理由が解かったかも知れない。


そして、いつもの様にルルがしっかり警戒していれば...もしかしたら回避出来たかも知れない。


人が来ないのは何故だろうか?それにはちゃんとした理由があるのだ。


これが経験を積んだ冒険者なら、その理由は必ず考える。


だが、彼女達の経験の浅さから、その理由を考えなかった。


その甘さのつけが...やがて重なり牙をむく事をまだ彼女達は知らない。




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