第10話 初めての仕事 薬草採取

ギルドのソフィさんの紹介で薬草採取の仕事にルルさんとメメさんと出かけた。


「そういえば自己紹介をしていませんでしたね、僕の名前はセレスと申します宜しくお願いします」


《こちらの世界では貴族でも無い限り苗字はない筈だからこれで良い筈だ》


「そうなんだ、ルルはルルだよ」


「メメです宜しくね、所でセレスさんはもしかして勇者様の血を引いているんですか」


「えっ、別に引いてないと思うけど何で?」


「綺麗な、黒髪、黒目だから、そう思ったんだけど違うんだ」


「違うよ」


《まぁ勇者と同じ国からは来たんだけどね》


「へぇーだけど、黒髪に黒目は凄くカッコ良いね、正直言ってルルの好み!」


「ルル、ずるい、私だってセレスさんカッコ良いと思います!」


「ちょっと待って! 黒髪、黒目ってカッコ良いの?」


「えっ、セレスさん知らないの? 黒髪、黒目って言えば初代勇者様から始まって、勇者様に多い特徴だよ、他の国はともかく、この国では綺麗な男性の象徴じゃない」


「そうなんだ、知らなかったよ...ありがとう」


「その黒髪、黒目でも、セレスさんは美形だと思うよ」


「メメもそう思う」


「そうかな! 僕から見たらルル先輩やメメ先輩の方が可愛くて綺麗だと思うけど!」


「「えっ先輩って!」」


「うん、冒険者として先輩なんだからそう呼ぼうと思ったんだけど、嫌だった」


「うん、別に嫌じゃ無いけどメメが可愛いって本当?」


「ちょっと、メメだけじゃないからね...本気ですか」


「普通に可愛く見えるけど...可笑しい?」


「「可笑しく無い...うん」」


《セレスさんって黒髪、黒目なのに横柄じゃないんだ》


《優しい黒髪、黒目って...居たんだ、凄い当たりかも》


黒髪、黒目には異世界から召喚された者が多い。 美形の象徴でもあるけど、我儘な者が多い。


優しい黒目、黒髪は少ない...それでもこの世界では黒髪、黒目は憧れの相手である。


「それじゃ頑張ってメメが薬草の取り方を教えてあげるね」


「私も教えてあげる」




そして、ルルとメメの薬草が生えている穴場についた。


確かに、これがお金になるなら教えたくはないだろう?


「さぁ、セレスさん、メメが薬草と毒消し草の取り方を教えるね」


「今日は私が警戒、する番か? 仕方ないな...じゃぁセレスさん、ルルが、スライムの警戒をしているからメメと一緒に採取してね」


「警戒?」


「うん、薬草が生えている周辺は湿地が多いからスライムがでるんだよ、だから片方が見張りをしながら採取しているんだ...安心して、スライムは遅いから倒すのも逃げるのも簡単だから」


「ありがとう、ルル先輩」


「うん」



「これが、薬草で、これが毒消し草、葉っぱが黄ばんでいるものや小さいのは取らないでね、根っこの周りから土ごととって土を振るい落とすのがコツだよ」


「こんな感じかな」


「うん、うまい、うまい その調子で頑張ってね」


「はい、メメ先輩」


「うっ、うん」


《こんな傍で...思わず顔が赤くなっちゃう》


「こらーメメ、手を止めるなよー はっきり言ってセレスさんの方が沢山採取しているよ」


「煩いな、解ったよルル」


「セレスさん..ちょっとこっちに来て」


「はい、ルル先輩」


「ちょっとルル...何?」


「セレスさん、あれがスライムだよ」


「へぇー あれがそうなんだ」


「そう、あれに捕まると火傷するから気をつけてね、沢山出たら逃げる事、スピードは遅いから簡単に逃げられるから、1~2匹なら簡単に倒せるから大丈夫、ほら中心に何か塊が見えるでしょう? そこを叩くように斬りつければ簡単に死ぬから」


「そう、なんだやって見ようか?」


「はい」


僕はナイフを抜いて言われるように叩いてみた。


スライムはバシュッという音と共に水になった。


その中心には小さな石があった。


「その石が魔石だよ、買い取って貰えるから必ず回収する事、スライムは簡単だけど、他の魔物は解体しないと手に入らないから大変なんだ」


「へぇーちなみにこれで幾らになるの?」


「1000スベル位...だから小遣い位にしかならないよ...だけどゴブリンになると15000スベルになるから必ずとる癖をつけた方が良いよ」


「なんてルルは言っているけどね、ルルだってまだゴブリンを倒した事は無いんだよ」


「そりゃそうだよ、私はまだ石級なんだから、というかメメお前も一緒だろうが!」


「まぁ、メメなら1匹やそこら倒せると思うけど、集団でいるしもし負けたら女の子はほら怖いから」


「そうだな私も同じ」


《確かにゴブリンは...そうだよなライトノベルでしか知らないけど 苗床って奴か》


「まぁ、女の子は危ない事はしな方が良いよね」


「うん、だけど鉄級に上がるなら避けては通れないんだけどね」


「そう、常時依頼だからね」


「そうか」


「さぁ、今日の分は充分採ったし帰ろうか」


三人して歩いてギルドに帰った。


ソフィさんは笑顔で迎えてくれた。


最初、2人は此処で得た金額の1/3をくれようとしたが辞退して、スライムの魔石だけ貰った。


「「「何で....」」」


「だって、今日の採集地はルルとメメの物だし、仕事を教わっただけだから貰えないよ」


「だけど、同じ階級なら山分けが原則なんだよ...受け取って」


「僕は授業を受けたような物だから、仕事を教わった報酬分を払った、そう思ってくれない?」


「セレスさんが良いなら良いけど本当に良いの?」


「うん」


「じゃぁ、その代わり今日の夕飯はルルとメメが奢るね」


「それじゃお言葉に甘えようかな」


二人と一緒に夕飯を食べた。


何と二人とも同じ寮に入っていた。


基本の夕飯にプラスして豪華な肉料理をルルとメメが奢ってくれた。


多分、これは赤字じゃないかな...何故か受付からソフィさんがこっちを睨んでいたけど僕は何かしたのかな?


「所で、セレスさんは明日どうするの?」


《どうしようかな? そうだ、教会に行ってみようか》


「明日は教会に行ってから、同じ様に薬草の採取をしようかと思う」


「そう、なら明日も私達と一緒に行動しない?」


「良いの?」


「ルルも午前中は休んで午後から仕事をするつもりだったから..うん良いと思う《嘘だけど》」


「じゃぁ お昼のギルドで待ち合わせで良いかな?」


「うん、良いよ」


二人と約束をして僕は寮に帰った。


二人も後からついてきた...同じ寮だから当たり前なんだけど...

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