第3部 最強のリセマラ勇者

第1章

第73話 王都最終決戦(前編)


 発作的に存在削除リセットしてしまった俺は、頭を床へ擦り付けて号泣しながら元の状態での復帰を最高神様に懇願した。最高神様はあまりに惨めな俺の姿を見て【次元の禁忌】というスキルを使って、俺を元の状態で復活させてくれた。


 最高神様は【次元の禁忌】という文字通り禁忌のスキルを使った事により、最高神の座を辞職した。聞いたところによると、本来ならあと1年で任期が満了して殿堂入りするはずだったらしい。最高神様には、何とも申し訳ない事をしてしまった。


 そして女神クレアは、俺がまた気軽に存在削除リセットしないように、目付け役としてパーティーに加わった。クレアは「なぜ私が異世界に行かなければならないのか」と、とても怒っていた。まあクレアは怒ってもいい。


 最高神様と女神クレアの尊い犠牲により、俺は勇者として復活した。

 ルージュちゃんは、人々を魅了しつつイベントをクリアして、聖女になった。ちなみに聖女になる条件の一つに安らぎを感じさせる一定以上のバストサイズという条件があり恥じらっていた。

 パパレは2匹目のドラゴン『黒龍』を1人で殴り倒して竜騎士になった。黒龍も口が達者なドラゴンで、素直なパパレは懐柔されそうになっていた。しかし、舌戦の部分だけ俺が参戦し、事なきを得た。

 そしてクレアには、テイマーになってもらった。クレアは「女神の私がなぜスライムを使役しなければならないのか」と、とても怒っていた。まあクレアは怒ってもいい。


 その後【魅力】も上がり、俺はやっとレイナス様をパーティーメンバーにするという目標を達成した。レイナス様をパーティーメンバーにした事により、護衛として100人の騎士団も仲間になった。騎士団の中で最弱の人でも俺より強い。チート過ぎる。

 レイナス様は高貴なご令嬢のため王都から外に出た事がなく、初めて冒険者として出た時は嬉しそうに微笑んでいた。しかし、現実はとても不自由で厳しいという事を知り、最終的には俺の事を頼りないと言って、俺にだけツンツンし始めた。今のところ一度もデレはない。


 俺のパーティーは、かなりの豪華メンバーになった。勇者シンヤ、聖女ルージュ、竜騎士パパレ、女神クレア、レイナス騎士団。レイナス様のおかげでパーティーというよりは軍団だ。


 クッソ強くなった俺のパーティーは、国王に世界各地の魔王を倒してくるよう命令された。俺自身は別に強くないので、とても怖い。そのため俺は全力で弱い魔王を厳選した。そうして俺は厳選した最も弱い魔王を倒す事に成功した。魔王を倒した俺は称号『伝説のパーティーメンバー』を貰った。微妙な称号で全く嬉しくはない。


 最弱の魔王に続き、俺たちは弱い方から順番に1人ずつ魔王を倒していった。狡い手段で仲間が倒されていく事に危機感を感じた魔王たちは結託し、王都へ魔王四天王が攻め込んで来た。

 東門には魔王ボルボル、西門には魔王マイマイ、南門には魔王クスクス、北門には魔王シャイシャイ。

 魔王四天王軍団の強襲だったが、王都の守りは万全だった。

 東門には勇者ブリランテ率いる国中から集まった勇者の軍団、南門にはパパレのご両親率いる国中から集まった冒険者の軍団、北門には王様率いる王都騎士団。それぞれの軍団に神界の仕事人が混ざっているようだ。南門の冒険者軍団の中にはピンク髪の神界の仕事人がいるらしく、とても気になる。

 そして、レイナス騎士団は王都に住む住民を守っている。レイナス様の優しさから住民を守っているのだが、俺には厳しい。

 という事で、西門には俺、ルージュちゃん、パパレの3人だ。西門の守りだけが貧弱過ぎる。どう考えても配置バランスが悪過ぎる。

 それなのにルージュちゃんは、勇者ブリランテ率いる勇者軍団の方へ行きたそうだ。パパレはご両親の方へ行きたそうだ。

 それでもルージュちゃんとパパレは俺の元にギリギリ残ってくれた。


 2人が残ってくれたとはいえ、俺たち3人vs魔王マイマイ軍団。勝てる気がしない。大ピンチだ。

 西門が大ピンチと知り、俺たちを救うため、あの2人が姿を現した。アグライアさんと旦那のジョージだ。ピンチになると現れるアグライアさんの優しさに涙が出る。ジョージの『魔王だって怖くない』という言葉は嘘ではなかった。

 しかし、今のアグライアさんは妊婦さんのため、ジョージと一緒に家に帰ってもらう事にした。


 俺たち3人は魔王マイマイに対峙した。魔王マイマイは、面倒臭そうに話し始めた。


「戦う必要ありますかね?」


 魔王マイマイは無気力ダウナー系で嫌々王都へ来たらしく、戦いたくない俺と気が合った。魔王マイマイは色白美肌に艶めいた黒髪の美人さんだった。

 俺が鼻の下を伸ばしながら魔王マイマイさんと話をしているうちに、北門では勇者軍団、南門では冒険者軍団、北門では王都騎士団が勝利した。その結果を聞き、魔王マイマイ軍団は西門から撤退していく。俺たち3人では勝てそうになかったので助かった。俺は魔王マイマイさんともう少しお話したかったとも思っていた。


 しかし、その時だった。

 空が暗くなり稲妻が光り、王都の上空に圧倒的な存在感の男が現れた。

 その男の名は魔王リボリボル。世界最強の魔王。

 そして、その背後には魔王リボリボルの配下である魔物軍団が控えていた。

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