第59話 スライム狩り開始
1週間程の夏休みが終わり、今日から『ポメポメ山』でドラゴン戦へ向けてのレベルアップを目指す。
「ルージュちゃん、パパレ! お休み気分はもう終わりだよ! 今日から『ポメポメ山』ゴモク狩り強化月間とする! 『ポメポメ山』でお得にレベルアップ! 合言葉は『お得』だよ」
俺は近くにあった庭石の上に乗り隊長らしく言ってみた。
「「はい! 合言葉は『お得』」」
ルージュちゃんとパパレは空気を読み、隊員らしく答えてくれた。優しいパーティーメンバーだ。
朝礼の後、俺たちはパパレの家を出発して『ポメポメ山』へと向かう。パパレはお父さんのガレフさんが作成してくれた地図を持ってきた。パパレの魔力を探知して現在地を表示してくれる便利な地図だ。これなら山へ入っても迷う事はない。
「色々な魔物がいるようだけど、どの魔物にしようかね?」
「お兄ちゃん、山スライムにして下さいっ!」
「山スライム? いいけど何で?」
「最近、山スライムがいっぱい発生して街まで来て悪さするから倒しておいて欲しいって、お父さんが言ってた」
「そっか。パパレの両親はまた冒険に出掛けてしまったんだっけ。じゃあ俺たちで山スライムを倒そうか。この地図によると、ここから少し南の雑木林に生息しているようだね」
俺たちは雑木林へ向かい、街に現れて悪さをしているという山スライムを探す事にした。
スライムと言えば俺が異世界へ来て初めて遭遇した魔物だ。
俺は4匹のスライムを相手に奮闘するアグライアさんを横で突っ立って見ていた事を思い出していた。
「そういえば街道沿いにいたスライムはオレンジ色で気持ち悪かったなぁ」
「私が見たスライムは青色で可愛いかったよ」
「パパレは色んなスライムを見たけど、赤色のスライムがカッコよかったっ」
「スライムってカラフルで色々いるんだね。ここのスライムは、どんなのだろうね」
雑木林へ到着すると探すまでもなく、すぐにオレンジ色のスライムを発見した。
「うわっ、デッカいスライムがいるよ。街道沿いで見たスライムに似てるけど倍ぐらいの大きさがある」
「えっえっえっ、このオレンジ色のスライムは気持ち悪いね。私が前に見たスライムと全然違うし大きいね」
「山スライムは普通のスライムより大きくて強いんだよっ」
「ガレフさんもそう言っていたね。確かにデカい」
スライムは物理攻撃が効きづらいらしいが、どんな程度なのだろうか。
俺も成長したので、街道沿いにいたスライムの倍近い大きさの山スライムでも怖くはない。
怖くはないが気持ち悪いので、遠距離攻撃が可能なノーマルスキル〈烈風斬〉を放ってみる。
ノーマルスキル「烈風斬!」
真空の刃がスライムを襲う。
ビチャっとスライムの一部が飛び散る。
「キモッ」
一部が飛び散っただけで、スライムはグジョグジョとまだ動いている。
どうにも直接、剣で触れる気になれないので〈烈風斬〉を連射する。
合計3発でオレンジ色の山スライムを倒した。
「うーん、スキルポイントばかり消費して効率悪いな。これはお得ではない」
しかし、せっかく来たので今日一日はスライム狩りをしようと思う。
今度は青色のスライムをルージュちゃんが発見した。
「青色のスライムがいるよ。私が前に見たのはあれの小さいのだよ」
青色のスライムはプリンプリンして可愛いらしい。
「青色のスライムは可愛いね。でもパパレ、攻撃魔法で倒しちゃって」
「えっえっえっ、シンヤ君、容赦ないね」
「パパレが倒していいの? じゃあ、やっちゃうよ」
ノーマルスキル「火球!」
パパレがスライムに向けて火球を放つ。
火球はスライムに命中し一瞬で蒸発した。
「うわっ、凄い威力。スライムは攻撃魔法には本当に弱いようだね」
スライムは攻撃魔法なら簡単に倒せるようだ。
楽に倒せるのは良いが、スキルポイントを使用してしまうので今ひとつお得感が少ない。
引き続きスライムを探すと今度は赤色のスライムが現れた。
「パパレの一押しスライムはあの赤色のスライムだよっ」
赤色のスライムは炎を模した姿で上部がツンツンとしていてカッコいい。
「確かにパパレが言うようにカッコいいスライムだね。でもルージュちゃん、攻撃魔法で倒しちゃって」
「えっえっえっ、やっぱりシンヤ君、容赦ないね。じゃ、じゃあ魔法で攻撃してみるよ」
ノーマルスキル「氷弾!」
ルージュちゃんの放った氷の礫によりスライムは凍りつき、そして砕け散った。
「おお、これも凄い威力だ」
赤色のスライムもあっさりと倒す事が出来た。
何色のスライムでも攻撃魔法なら簡単に倒せて良いのだが、スキルポイントの消費量が問題だ。
どうしたものかと悩んでいると、青色のスライムと赤色のスライムが1匹ずつ現れた。
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