第54話 夏休み
レベル10になった事で受ける事の出来そうなクエストが少し増えている。たくさんあって迷うのでレベル上げに適したお薦めのクエストがないかを冒険者ギルドのニーナさんへ尋ねてみた。
「シンヤ様はもうレベル10になられたんですね。それでしたら『ポメポメ山』はどうですか。山頂の方は強い魔物がいますが、麓から中腹まででしたらちょうど良いと思いますよ」
「『ポメポメ山』ですか」
「『ポメポメ山』! パパレのウチの近くにある山だっ!」
「そうです。パパレちゃんの家がある西の街『ポメポメ』の近くにある山で、レベルアップの山と言われています。標高を上げるにつれて少しずつ経験値が割増になっていってお得ですよ」
「経験値が割増でお得!」
俺はお得という言葉が好きだ。
「経験値がお得なんだ。シンヤ君、良いと思うよ」
「経験値がお得っ! お兄ちゃん、お得だよ。お得にしようよっ」
庶民の2人もお得が好きなようだ。
「今、『ポメポメ山』は魔物が増えていて街道に出没する魔物まで多くなって困っています。ぜひ討伐をお願いします。『ポメポメ山』は高地のため少し涼しいので暑くなるこれからの季節にはピッタリですよ」
ニーナさんはやり手の営業マンのように俺たちを『ポメポメ山』へといざなう。
確かに露出の少ない格好で帽子を被りマスクをして、森でゴブリンを狩っていたら熱中症になりそうだった。もうすっかり初夏の陽気だ。お得な上に涼しいという『ポメポメ山』は絶好のポイントに思える。
「そうなんですね。それならお得で涼しい『ポメポメ山』のクエストを受ける事にします!」
俺たちは『ポメポメ山』にいる全ての魔物が対象の〈ポメポメ山ゴモク討伐クエスト〉を受けようと思う。
◇
「次からは『ポメポメ山』へ行く事になるけど、ゴブリン殲滅強化月間を頑張ったからその前に連休にしようか。少し早い夏休みだよ」
「えっ、夏休みがあるんだ。嬉しいな。何をしようかな」
「やったー、夏休み! パパレは休みでも魔物を狩ろうかなーっ。お兄ちゃんは何するの?」
「え、俺? 俺は港町『コベコベ』に行ってみようかと思っているよ。美味しい食べ物とお酒があるみたいだし。それに神殿に寄っておけば、いつでも行けるようになるしね」
「お兄ちゃん、『コベコベ』に行くの?! パパレも行きたいっ」
「え、パパレも来るの? もちろんいいけど」
「『コベコベ』いいな。シンヤ君、私も一緒に行ってもいいかな?」
「え、ルージュちゃんも? もちろん良いけど、休みなのにいつもと変わらないね」
「そうだね。でもみんなで『コベコベ』に行ったら楽しそうだよ」
「パパレ、海で泳ぎたいなー」
「泳ぐ? 港町だから泳ぐような場所ではないんじゃないの?」
「あ、それなら『コベコベ』のすぐ近くに綺麗なビーチのある『リバリバ』という街があるよ」
「お兄ちゃん、パパレは『リバリバ』にも行きたいっ! お願いしますー」
「わかったよ。じゃあ一泊二日で『コベコベ』『リバリバ』に行くことにしようか」
「やったー、お兄ちゃん、カッコいい。あっははー」
「何だよ、カッコいいって。調子いいな、パパレは」
「3人で『コベコベ』と『リバリバ』かぁ。シンヤ君、パパレちゃん。楽しみだね」
「そうだね。そしたら今日はこれでお終い。パパレは『ポメポメ』へ送っていくよ。2人とも旅行の準備をしてきてね」
3人で港町へ旅行をすることに決まった。
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