第24話 400thアニバーサリー
『お前、聞いたかー』
『おう、見に行ってきたよ』
『俺はダメだったよ』
『欲しいよなー』
俺は始まりの街『ヨイヨイ』に戻ってから、街中がざわざわしている事が気になっていた。冒険者ギルドに来てからは、特にざわざわが大きくなっている。
「街中がざわざわしてる気がするけど、何かあったのかな?」
「なんだろうね。私も分からないよ」
ルージュちゃんも分からないようだ。『ポメポメ』住まいのパパレも分かるはずはない。
俺は近くにいた気の良さそうな冒険者に聞いてみた。
「今日は街で何かあったんですか?」
「お、あんちゃん、まだ知らなかったのかい? 今日は【神界の本棚】、400thアニバーサリー特別スキルが発表されたんだよ」
「な?! 400thアニバーサリー特別スキル?!」
何という魅惑的な言葉。俺はテンションが爆上がりした。
「あわわわわ、そ、それはどこに行けば詳しい事がわかるんですか?!」
「神殿に行くといいぞ。今日から新レアスキルとして排出されるらしい。あんちゃん、さっそく【神界の本棚】を利用するのかい。頑張れよ」
「ありがとうございます!」
俺は【神界の本棚 利用券】を持っているわけではないのだが、どんなレアスキルなのか確認しに神殿へダッシュした。
神殿には多くの人々が集まっていた。
その中心には【神界の本棚】がある。何人か利用している人がいるが、レアスキル本は1回や2回で引けるようなものではない。
「くそっ、ノーマルスキル本かっ!」
そんな声が神殿内へ響いている。
俺たちは人をかき分け人だかりの中心まで進み、新レアスキルの案内版を確認した。
400thアニバーサリー特別スキルはこちら!
【特殊レアスキル】〈次元の神秘〉
どこにいても1度行ったことのある神殿へ転移する
おお! 転移魔法か、これは便利そうだ! この世界の移動は馬車が最速。従って街と街を移動するだけで1日がかりだ。転移さえあれば、冒険の効率が大幅アップする事、間違いなし! それに魔物と戦っていても危なくなれば転移で逃げればいい。このスキルは欲しい! すごく使ってみたい!
これは新スキルだしピックアップされて排出率アップとかはないのだろうか。案内版を隅々まで確認するが、そのような記載は一切ない。こういうところが、この『運営』はダメなんだと俺は思った。
よし、それならば、さっそく〈
俺は興奮しすぎて、1人でぶつぶつ呟いていた。
気がつくと、ルージュちゃんとパパレから変な目で見られている。それを見て、俺は取り繕うように言う。
「こ、このスキルいいね。さすが400thアニバーサリー」
「お兄ちゃん、ぶつぶつ言っておかしくなっちゃったかと思ったよー。パパレ、早くもパーティー解散かと思った」
「シンヤ君、宙を見ながら1人でぶつぶつ言ってるから、怖かったよ。とっても興味がありそうだけど【神界の本棚 利用券】を持っているの?」
「いや、ないけども。それにしても400周年とは昔から続いているんだね」
「うん、400年前ってすごいよね。その頃に最初の魔王が現れて、それに対抗するために【神界の本棚】が造られたって言われているよ。私も学校で習った事しか分からないけど」
「へぇ、そんな歴史があるんだ」
大昔から魔王がいて、【神界の本棚】が400年も歴史のあるものだったとは‥‥‥。俺は、長い歴史ある『運営』をバカにしてすまなかったと思いつつ、400年もこの仕様で続いている事に驚きを隠せなかった。
〜あとがき〜
ここまでお読み頂きありがとうございます! 弱小作者のモチベが上がりますので、続きを読んでもいいかなと思いましたらフォローしてもらえると嬉しいです! 宜しくお願いします!
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