第23話 初めてのレベルアップ

 俺たちはオオトカゲ3匹を相手に快勝した。

 快勝を喜んでワイワイと3人で話をしていた、その時だった。


 ピコン!『レベルが上がりました』


 唐突に音声が聞こえてきて俺は驚いた。


「何、今の?! 怖っ」


 突然、脳内でシステム的な音声が聞こえたら驚きもする。なんだったのだろうか。俺は驚いたせいで内容を聞き逃してしまった。


「何? 急にビックリするじゃん。もう1回聞きたいんだけど」


 俺は誰に言っているのか分からないが、そう言ってみた。


『‥‥‥』


 少し間をおいた後、再び音声が聞こえてくる。


 ピコン!『レベルが上がりました』


 リピートできた。どうやらオオトカゲを3匹倒した事によりレベルが上がったようだ。


「おおっ! レベルが上がった!」


「おめでとう! やったね、シンヤ君!」


「お兄ちゃん、良かったねっ!」


「ありがとう、2人とも」


 俺は嬉しくてすぐに〈ステータス〉を確認してみた。


冒険者シンヤ

【レベル】2

【HP】61

【SP】45

【物理攻撃力】57⭐︎

【物理防御力】28+

【魔法攻撃力】26

【魔法防御力】24

【魅力】25

【幸運】32+

【スキル】武神の加護(発動中)、火炎斬、電撃


 所詮レベル2のしがないただの冒険者なので大した事はないのだが、それでも少し強くなったという事は嬉しいものだ。


「俺たち、意外に強かったよね。いいパーティーな気がするよ」


「オオトカゲ、怖かったけど、シンヤ君とパパレちゃんがいるから、大丈夫だったよ」


「パパレも楽しかったよー。お兄ちゃんとお姉ちゃんのパーティーに入れて良かったー」


 戦闘も上手くいき、ルージュちゃんとパパレの相性も良さそうで一安心だ。



 ◇



 西の街『ポメポメ』への旅を終え、始まりの街『ヨイヨイ』に戻ってきた。『ヨイヨイ』に戻って、まず最初にしたい事はクエストクリアの報告だ。


 俺たちは初のクエストクリアの報告という事で、足取りも軽く冒険者ギルドへ向かった。

 冒険者ギルドへ到着すると、すぐさまニーナさんのいる受付でクエストクリアの報告を行う。


「ニーナさん、クエストクリアしてきましたよ。クエストカード見てください」


「シンヤ様。クエストクリア、おめでとうございます。お疲れ様でした。ルージュちゃんもお疲れ様、頑張ったね」


「ニーナさん、ありがとうございます。私でもクエストクリア出来ました!」


 ニーナさんがこちらを見て、ルージュちゃんの隣にいるパパレに気がつく。


「あれ? もう1人、そちらの方は?」


「パパレです。お兄ちゃんにパーティーメンバーにしてもらいました。よろしくお願いしますっ!」


 パパレが何故か礼儀正しく答えている。やれば出来る子なのか。


「パパレちゃんは新しいパーティーメンバーさんなんですね。頑張ってくださいね」


 そんな会話をしつつ、俺はクエストクリアの報告のために水晶へ手をかざす。すると何やら複雑な計算がなされ、その後に報酬を受け取る事が出来た。初めての報酬だ。


 報酬の1つである経験値を得た俺はレベルがまた1つ上がった。ルージュちゃんとパパレも経験値は増えたようだが、レベルアップするには至らなかったようだ。

 経験値以外の報酬としては、この世界で使えるお金を少々。それに報酬の1番の目玉である【本棚石】だ。この【本棚石】を3000石、集めると【神界の本棚】を1回利用する事ができる。今回は2石貰えた。3000石で1回利用できると考えると気が遠くなる。あの『運営』は設定を間違えているのではないだろうか。


「初めての報酬は嬉しいけど、ちょっとショボいよね」


「初めてで簡単なクエストだったし、しょうがないよ」


「パパレもいるから、今度は強い魔物でも大丈夫だよー。強い魔物と戦いたいですっ」


 パパレは戦闘狂なのだろうか。両親に会ってみたい気もする。

 俺は明日は朝から王都『ライナライナ』へ向かいたいので、今のうちに次のクエストを受けておこうと考えた。この世界の雰囲気をなるべく体験していきたい。


「明日は朝から王都『ライナライナ』へ向かいたいし、今から次のクエストを受けておこう。何がいいかな?」


 俺たち3人は張り出されたクエストリストを眺める。


 王都『ライナライナ』へは馬車で行く事になるのだが、そのちょうど中間点に中間の街『メイメイ』がある。そして今、中間の街『メイメイ』周辺ではゴブリンが増えているらしく、そのゴブリンを討伐するクエストがある。

 これはどうだろうか。


「ルージュちゃん、パパレ。これを見て。『メイメイ』周辺のゴブリン討伐クエストだって。中間の街『メイメイ』には寄るから、これはどう? ゴブリンって強いのかな?」


「初心者さんのパーティーでもゴブリン討伐クエストを受けてるのを見た気がするよ。大丈夫じゃないかな」


「パパレはゴブリンと戦った事ないから、戦ってみたいなー」


 2人とも乗り気のようだ。俺はもし無理そうなら途中で諦めても良いだろうと考えて、ゴブリン討伐クエストを受ける事にした。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る