第9話 改善される運営
「ふぅ、またここからか」
俺はいつも通り転生者が最初に訪れる街『ヨイヨイ』の入り口にいた。
しかし、今までと違うのはパーティーメンバーを増やして、パーティーを作ることが出来ると分かった事だ。
俺はパーティーメンバーになってくれる人がどんな人なのかを知りたい、それと同時に出来るだけ多くのスキルについても確認したい。
どちらを優先すべきか迷ったが、ひとまず次に有用そうなレアスキル本が引けた時にパーティーを作ってみる事にした。
パーティーメンバーになってくれる人の情報を得て、パーティーメンバーの適正に合うスキルを精査しながらリセマラした方が、効率が良いと判断したからだ。
いずれにしろ向かうは神殿だ。レアスキル本を引かない事には始まらない。
神殿前に到着すると、今までは気にもしていなかったが、教会が併設されている事に気がついた。
なぜ気がついたかというと、アグライアさんとその旦那になるジョージが、イチャイチャしながら結婚式の準備と思われる作業をしているのを見かけたからだ。
それとなくアグライアさんの視界に入るように近づいてみる。
アグライアさんはチラリとこちらを見たが、それ以上の反応はない。俺の事は、完全に記憶から消えているようだ。
二人の会話が聞こえてくる。
「アグライア、このペースなら結婚式の準備ももうすぐ終わりそうだな」
旦那になるジョージがアグライアさんへ話しかける。
「そうね、ジョージ。朝からずっと2人で頑張っているものね。明日はきっと素晴らしい結婚式になるよ」
アグライアさんがジョージへ返事をする。
聞こえてきた会話によると、アグライアさんは今日は朝からずっと結婚式の準備をしている事になっているようだ。今この状況は、俺がいなかった世界線で時間が進んでいるという感じなのだろうか。
今の俺とアグライアさんには、何の関係性も無くなってしまった。
少し淋しく思うが、それでも俺にとってのアグライアさんは、最初にパーティーメンバーになってくれた人に変わりはない。
「お幸せに」
俺はそう呟き、神殿内へと歩みを進める。
その10分後、俺は神殿から出てきて〈
◇
ここは神界。
異世界への転生者は、すべからくこの場所へ召喚される。
神界で転生を司る美しい女神の1柱クレアが転生者へ話しかける。
「転生者であるシンヤよ。あなたは何故、またここに来たのですか?」
「いや、もうそろそろこの会話やめようよ。しつこいと嫌われるよ」
「そうね。さすがにそろそろやめようかしら。これを何度も見せられている人たちがいるとしたら、たまったものじゃないわよね。ごめんなさいね。これっきりにするわ」
「それがいいよ。あれ? もう魔法陣が描いてある」
「そうよ。どうせすぐ来ると思って、描いておいたのよ。最高神様から複写機を貸してもらったから、すぐに作れるようになったわ」
「待ち時間に読む漫画も残り少なくなってきていたし、それはありがたいな。あと魔法陣の上で飛んでる人? 5人もいるけど、あの人たちはなに?」
「あれは精霊たちよ。私に代わって魔力を込めてくれているの。頭がおかしいのは、私じゃなくてあなただって事が最高神様に伝わって、それで派遣してくれたのよ。これでスピードアップよ。それから異世界へ行くと毎回、街の入り口だったでしょ。次からは、神殿の前に現れるようになったわよ。その方が楽でしょ。良かったわね」
「うん、確かにすごくありがたい。でも、そこまで親切にしてくれるなら、最初からレアスキル本を貰えないの?」
「それは何百年と続く規則があってね。最高神様も頭を抱えていたわ。まあ、とにかく魔法陣が出来たから行ってきなさい」
「わかった。行って来るよ」
俺はもう何度目なのかさっぱり分からないが、魔法陣から異世界へと旅立った。
〜あとがき〜
ここまでお読み頂きありがとうございます。今回で第1章が完結しました。弱小作者のモチベが上がりますので、続きを読んでもいいかなと思いましたらフォローをしてもらえると嬉しいです! 宜しくお願いします!
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