たまに隅の方から去年のものとかでてくる
「空が忙しいのは、とってもわかるんだ」
「ありがとう。その気持ちだけで十分よ」
「最後まで聞いてほしい。家事も買い物もやってくれて、正直みこが返せるものなど、この愛嬌くらいしかないと思ってる」
「大した自信ね。収益化のほうでなんとかして欲しかったけど」
「あれはその……競争が激しく……みこが言いたいのはな、感謝してるんだけどな、その、もう少し冷蔵庫に目を向けてあげてほしい」
「冷蔵庫ちゃんがなんか言ってた?」
「冷凍庫にしないでほしいって」
あぁ。
「もう晩夏だし、パワーも弱めていいと思うんだ。チルドのトマトは石みたくなってたし、油揚げだって手裏剣みたいになっていた。冷蔵庫に保管しすぎなんだ。宝の山みたくなっているけど実はどいつもこいつも天寿を全うできないままコールドスリープしているんだ」
「現代で不治の病に罹った人が、コールドスリープで治療法が確立された未来に行く話あるじゃない? それ」
「あれはファンタジーだろう」
「可能性を可能性のまま残しているだけよ」
「せめて買って3日くらいで使うとか」
「休日にしか買い物に行けないから買いだめするかといって平日料理する気力が残っているかというとケースバイケースでとはいえ食材が全くないという状況は避けたい。そんな私の気持ちを知ってほしい」
「だから空が毎日頑張っているのはわかってるから……」
「わかるだけが歩み寄りじゃないわ。そんなこというならみこも手伝ってよ。知っただけで『私は優しい人間です』っていうのはエゴよ!」
「みこ神様だし……」
「その設定はこの際捨てて、さあレッツクッキング」
「だから全部凍ってるんだって……」
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