各々がそれぞれの場所で優しく生きて行ければいいのに
「言葉狩りってあるだろ?」
「狐狩りと似たような……」
「当たらずとも遠からずだが、なんか嫌だな」
夕ご飯の食器を片そうとしたところで、みこが言った。
「ああいうことをされると、その言葉が死んでしまうんだ」
「いつもの言霊の話?」
「そう。別にその言葉は悪くないのに、勝手にレッテルを貼られて封印されて。なかにはまだ生まれて間もない子たちだっているのに」
「凶器が包丁だったからって、金物屋を責めるのはお門違い、みたいな話ね」
「悪意を持って使わなければいい話なんだ。なのにどうしてこう、自分の世界を狭くしていくんだろうか」
「もともと狭い世界で生きているからでしょ」
あの手の類いは、当たり屋と変わらないと思っている。わざと傷つけられに行っているのではないか。そういう性癖なのか。
「そもそも、その言葉が本当に悪意を持って使われていたのかもわからない。声の大きい人が勝手に決めつけて、勝手にその言葉をなかったことにしようとしてる」
「なぜだ?」
「目立ちたいんでしょ」
「それにしてもやり方が……でも、誰が良くて悪いとか、そういう話をしたいわけじゃないんだ。使わない人がいるのなら、代わりにみこが使ってやればいいだけの話」
「もしかして、この前の配信でそういう言葉、使いまくった?」
「そしたらなぜか荒れたんだ……」
「まあ、そういう目立ち方もあるから」
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