1人だけロケットエンジン積んでるような出来レース
外は雨で、スクリーンの中にも雨が降っている。歯の浮くようなメロドラマの終盤。男も女もフラフラしてるし、最後猫ちゃんが雨の中飛び出すところは、話の展開とは別に胸が詰まる。猫は大切に。そもそもラストで、猫は結局見つかるんだったか。
あ「最近映画で泣きました?」
空「クレヨンしんちゃんの、シロのお尻に爆弾がつくやつで泣いた。家族モノに弱くなっている気がする」
あ「みーちゃんと見たんです?」
空「劇場で、1人で、休日に」
周りは家族連れが9割だった。
あ「それはずるくないですか? 内容よりシチュエーションで泣こうとしてません?」
空「でも良いこともあったわ」
あ「悪いニュースと良いニュースの構文だ。現実で聞くとは思いませんでした」
空「孤独を噛み締めて生きている大人が私だけじゃないって知れた」
あ「もらい泣きしそう」
空「でも純粋な感動って何かしら。結局自分の人生と重ね合わせて、悲しかったときの気持ちが共鳴して増幅されるから気持ちが溢れ出しちゃうだけ。映画館は泣いてもいいって、許されてるだけじゃない?」
あ「まあ街中でおもむろに泣き出したら流石に引きますけど。でも主人公に『良かったねぇ幸せになれたねぇ』って、泣いちゃうことないですか?」
空「それは親目線だから」
あ「うーん、感動の定義が不明ですね」
「ただ」猫は見つかり、大団円と向かう。「笑ったり泣きたりしたいから見てるわけで、深くは解明しなくても別に」
あ「言い出しっぺがそれを言うのはずりぃんだ……次何見ます?」
空「嵐を呼ぶジャングル」
あ「ハマったんです?」
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