第15話 白銀の神滅器、奪われる魔導書#03-2
いのりは勢いよく飛び出しケイオスへ接近すると、いのりとケイオスは応戦を始める。
「はぁあああ!」
「……」
いのりの流れる様に速く美しい連撃を繰り出すがケイオスは表情一つ変えずに的確に捌いていく。
全て捌かれたいのりは一度距離を置いて槍を持ち直す。
「はぁ、はぁ」
「……終わり?」
「よゆーそうですね。操られてる人の動きじゃあ、無さそうですし」
「……そうね。余裕よ……」
ケイオスは間合いを詰め、光の刃でいのりに斬りかかる。いのりはケイオスの連撃を槍で受け流し応戦する。
「なるほど。抵抗力も合って、完全に、操られている訳では、ない、っと」
「……」
「あぁもう!話しにくい!」
いのりは応戦しながらの立ち回りに悩む。会話と行動からケイオスは悪人ではない、と直感するがそれだけでは決め手に欠けている。
「しっかし、やっぱり似てる」
「……」
接近戦を行ってケイオスの顔を間近で見てみると、やはりツムギに顔がそっくりであるといのりは感じていた。
「ケイオスあなた、先生の関係者?」
「……チョーカーを外して」
「チョーカー?」
斬撃を捌く合間にケイオスの首元を確認する。するとそこには荊の輪が装着されていた。
「これは?」
「……」
「あー、もう!雪姫!!」
雪姫が輝きその刃でケイオスの手刀を打ち払う。するとケイオスの光の刃はたちどころに消え去り、ただの手刀となる。
「たぁああ!」
雪姫を思い切り薙ぎ払いケイオスとの距離をあける。
「その光の刃、やっぱり魔力で形成されてたのね」
いのりの扱う槍『雪姫』は
その雪姫の能力を使いケイオスの金色の手刀を打ち消したのだった。
「えッ!先生!!」
横目にツムギたちの方を確認すると、ツムギは土壁に封じられ、さらにツムギの周囲の土が盛り上がりドーム状の檻に閉じ込められる所であった。
「こい、ケイオス!帰るぞ!」
ケイオスはテイカーの後ろに回り込みテイカーを抱えるとすぐさまこの場から離脱する。
「えっ!ちょま……あぁもう!」
いのりは式神を放ち後を追わせるとツムギの救出に取り掛かる。
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