第14話 白銀の神滅器、奪われる魔導書#03-1

 いのりは勢いよく飛び出しケイオスへ接近すると、いのりとケイオスは応戦を始める。

 テイカーと向き合うツムギはポケットからセットしていた魔導書を取り出し開き白銀の長槍をしまう。


「魔力バカ喰いするから使いたく無かったけど……仕方ないわ。宿れレグルス!」


 魔導書を入れ換えて別のページを開き唱える。するとツムギは金色のオーラを纏い、バチバチと音が鳴り始める。


「ほーう?電撃を纏ってるのか」


「さぁて、どうでしょう?」


「その魔導書、欲しいな!」


 テイカーはツムギの持つ魔導書に狙いを絞った様だ。テイカーは隠し持っていたカード取り出す。


「出ろ、魔術師の杖マジシャンズ・ロット!」


収用札マジックカード!?」


 収用札から杖を取り出したテイカーはそのまま攻撃に移った。


「炎よ爆ぜよ!バーストフレイム!!」


 テイカーが杖を振りかざし呪文を唱えると、炎が杖から飛び出しツムギへ向かって飛んでいくと目の前で炎が爆ぜる。


「うにゃっ!!」


 ツムギは奇妙な掛け声と共に一瞬で爆ぜた炎の前から消える。そしてテイカーの背後に現れた。


「は!?いやまだだ!」


 テイカーは驚きはすれど直ぐに次の手を打つ。


「速き炎の矢!フレイムアロー!!」


 テイカーの杖から今度は矢状の炎がツムギへ向かって放たれる。しかしこれもツムギは目にも止まらぬ速さで避けきる。


(これ以上は魔力が底をつく。決めろ!)

「えぇ!レグルス!!」


 ツムギの纏う金色の輝きが増す。


「おりゃ!」


「待ってたぜ!大振りな一撃!!」


 テイカーへ肉薄し渾身の一撃を食らわせる。しかしテイカーはニヤリと笑みを浮かべ対処した。


「大地の壁よ、拘束せよ!アースウォール・ロック!」


 テイカーにツムギの拳が触れる間近で、土の壁が現れツムギを拘束する。ツムギは力ずくで拘束を解こうともがくが、金色のオーラは消えてしまった。


「あ、ヤバ」

(時間切れだ。不味いぞ)


 ツムギはぐったりとした様子でもがく事を止めしまう。


「MP切れの様だな。そりゃそうか、あれだけ派手な力なら、反動もデカいか。じゃあいただくぜ、その魔導書!」


 テイカーは拘束されたツムギから、左手に持っていた魔導書を奪い取る。


「『十二星座の王と巫女』ね。聞いたこと無いタイトルだ。これは相当なレア物とみた」


「わた、さない」


 テイカーが奪った魔導書を確認していると、ツムギは弱々し手を伸ばす。


「何も出来ないだろう?ま、念のため封じるか。大地よ、その者を封印せよ!アース・シール!」


「……ッ!……!!」


 ツムギの周囲の土が盛り上がり、やがてドーム状に閉じ込められる。いのりが何か言っていた様だが、その言葉はツムギへ届く前に閉じて伝わらなかった。

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