🌞 日野寅男 3 🐯

 星凛スターリンと付き合い始めて早1ヵ月。

 修学旅行当日がやって来た。

 行先は何と、


「お前の故郷だな、星――っておいおい何だその大荷物⁉」


 俺がプレゼントした塹壕トレンチコートを着た星凛スターリンが、戦場にでも行くかのような巨大な背嚢を背負っている!


「べ、べべべ別に大したものは入ってないわよ⁉ 酔い止めとかエチケット袋とかパラシュートとか――」


「パラシュート⁉」


 見れば星凛スターリンが真っ青な顔をしている。

 あー……そう言えばスターリンって飛行機が苦手で、絶対に乗らない主義だっけか。選挙戦で乗り回してたヒトラーとは真逆だな。





   🌞   🐯





「うわぁああ‼ 死ぬぅうう‼ 堕ちるぅうう‼」


「コラコラ、滅多なこと言うな」


 隣の席の星凛スターリンをなだめすかすことしばし。

 飛行機は無事飛び立ち、ロシア上空に至った。





「皆さ~ん」





 不意に、登呂トロ月子つきこ先生が言った。


「このクラスに、社会主義者の皮を被った全体主義者ファシストがいま~す。だ~れでしょうか?」




























 クラスの全員が、星凛スターリンを指差した‼

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