⭐ 星凛子 2 🍎
「で、どういうことなの、ママ?」
「言ったまんまよ。私たち、結婚するの。だからアンタたちも結婚しなさい」
「???」
どこから聞くべきか……。
私は、このぶっ飛んだ母に頭が上がらない。弟たちを残して死んだ今世の父に代わり、必死に働いて私の学費まで出してくれているこの母には。
前世といい今世といい、私に勝てるのは母だけなのである。
「あの人は私の常連で、大手自動車販社の社長さん。年はまぁそこそこだけど、イケオジ風だし優しいし、何より金持ちよ」
「うーん」
「『同族社長はカリスマが命。つまるところ顔が命』ってのがあの人のモットーで」
それはまぁ分かる。
私も前世では、盛りに盛ったダンディーな
指導者というのは、ナメられたらお仕舞いなのだ。
声の良さと演説力だけで総統に上り詰めた、どこかのちょび髭は例外だ。
「幸い
「うん」
「だから絶世の美女たる私の娘とあの人の息子を結婚させてくれ、と」
「ぅおーい」
「私はこう答えたの。『私のことも養ってくれるなら、考えてア・ゲ・ル』」
「ぶっ飛んでる……」
「いい、凛子? この話、何が何でもつかみにいきなさい!」
母が私の肩をつかむ。
い、痛い……近い。
「でも私、あんな嫌味な野郎とは結婚したく……いたたたたっ」
「何が、何でも、死守しなさい‼」
「え、ちょっ」
「アンタ、大学行きたくないの?」
「うっ」
「弟たちを進学させたくないの?」
「ううっ」
天を仰ぐ。するとちょうど、額に水が降ってきた。
「雨漏りのない家で暮らしたくないの⁉」
「うううッ‼」
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