第336話 ルトベアル王国
婚約も正式に決まったせいか、ノワールとエリーは前よりも遊びに来ることが多くなった。おばあ様とノワールが何を話したのかはヒミツらしいので、それ以上は聞かない方がいいだろう。
テネーブル伯爵家とヴァルハーレン家には何かあるようだけど、父様を見ている感じではそんな様子は一切感じられない。つまり、おばあ様は父様にも伝えていないのだろうから、僕が首を突っ込むのは違うような気もする。
おばあ様やおじい様に関係する話でテネーブル伯爵家と繋がりがあるとすれば、トゥールス奪還に関する話だろうな。
おばあ様の父であるファビアンや兄のシュテファン、そして前テネーブル伯爵はともにトゥールスの戦いにて戦死している。おそらく相当強かったことを考えれば、簡単に帝国に負けることは考えにくいので、テネーブル伯爵が何らかの失態を犯したせいなのかもしれないな。その辺りはおばあ様の物語や、どの歴史書もおばあ様のことにスポットが当たっているため詳しく書かれていないのだ。
ヴァルハーレン家の血筋を初代から整理してみるか。
初代ヴォルフガング、妻ローゼマリー(妹)
二代目ヴァーリック、妻リズベット(妹)
三代目ファビアン、妻ユリーア(妹)
四代目予定シュテファン(クロエの兄、トゥールスにて死亡)
四代目アルバン、妻クロエ
五代目ハリー、妻ソフィア
六代目エドワード
三代目まで妹を妻にしていたことから、空属性というものをかなり大切にしていたことが分かる。ルトベアル王国の王族の生き残りだという話なので、そういった血統魔術を大切にしてきたのだろう。
おばあ様も本来は兄のシュテファンと結ばれるはずだったが、兄がトゥールスで死亡したためおじい様と?
物語ではおじい様と一緒ということが多いというか、兄であるシュテファンの存在は書かれておらず、どちらかというと第二王子と結ばれたシンデレラストーリーに見えるような気もする。
次に例の日記や色々な歴史書を読み漁った結果、次のようなことが分かった。
ヴァーヘイレム王国を作ったのは初代ヴァレリー・ヴァーヘイレムだが、彼はドルズベール王国を滅ぼすためにヴォルフガング・ヴァルハーレン、マイヤ・ヴァッセル、アゴーニ・バーンシュタイン、エレツ・ハットフィールドといった四人の力を借りている。
そして、ヴァーヘイレム王国を建国後の五人の力関係は表向きには平等だったのだろう。建国後に協力したなどの話は一切伝わってないどころか、それぞれが好き勝手にやっているような記述も発見した。その結果出来上がったのが基本貴族同士は不干渉である今の王国法なのかもしれない。
それぞれが好き勝手ってやっているのなら、それぞれが国を名乗ればいいような気もするが、ある程度大きな国である必要があったのだ。ヴァーヘイレム王国はイグルス帝国、ニルヴァ王国、マーリシャス王国、魔の森に囲まれているため、非常時に協力体制を取る必要があったのと、イグルス帝国に並ぶぐらいの大国になれば、他の国も攻めにくいということを考慮したのだろう。あくまでも僕の見解なので正解ではないが、そう遠くはないはずである。
そんな貴族の関係もたくさんの貴族ができることによって変化し、派閥ができて、現在の王国の体制に変化していったのだろう。
そういえば、ローダウェイクの城とニルヴァ王国の城は作りが似ていることから、ニルヴァ王国の城は元々ルトベアル王国の城だった可能性がある。
ニルヴァ王国を作ったコジローは、誰もいない城を使ってニルヴァ王国を作ったという話だった。つまり、ドルズベール王国によってルトベアル王国が滅ぼされたのはそれ以前ということになるのだろうか?
滅ぼされてすぐに、もぬけの殻というのもおかしいな。滅ぼされてからかなりの時が経っているのか、既に使われていなかったという方が正解のような気がする。そもそも城以外の建物が無かったという話だから、城でなかった可能性も考えられる。ニルヴァ王国にあったダンジョンもローダウェイクの地下と似ていることを考えると、どちらもルトベアル王国が関係している可能性もあるわけだ。
ルトベアル王国についてはおばあ様の情報しかないので何も分かっていないが、空属性にしても技術力にしてもかなりの力を持っていたことになる。ダンジョンを人工的に作ったのか元からあった何かを利用したのかは分からないが、おばあ様の力を見ている限り簡単に負けるとは思えないし、ドルズベール王国を滅ぼす際にもヴォルフガングの力は大きかったように思う。
ヴァルハーレン家の始まりはヴォルフガングから始まるが、ルトベアル王国からヴォルフガングに繋がるものは何もない。日記も冒険者になって以降のことしか書かれていないのでルトベアル王国についてはお手上げだな。滅ぼしたドルズベール王国のことですらほとんど知られていないのだからしょうがない。
今後はドルズベール王国についても調べてみようと思ったのだった。
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