三百十四話:久しぶりのラインナップ更新
「クフフ、素晴らしい。 キャンキャンうるさい犬どもが惨めなのが特に素晴らしい……犬どもの首魁はどんな顔をしているんでしょうねぇ? クフフッ! 」
犬嫌いの【猫の手】の主人に大量のドロップアイテムを持って行くと、もの凄い喜んでいる。
性格の悪そうな猫顔で『クフフ』と笑っている。
「おめでとう人族。 ラインナップ更新だよ」
ラインナップ更新も久しぶりだな。
設置したガチャに結構な数の素材や魔石が溜まっていたので持ってきたのだが、更新も重ねるごとに要求数が多くなっていくのかな?
だとしたら余計にガチャ設置を増やしたいところだ。
「中級素材や魔石も多かったですからね。 エリートワイルドドッグシリーズ装備、ワイルドフリート、ヴァラホン、そして炎の魔道具も販売開始だよ」
砦に設置したガチャの収入が多かったから、犬素材多めだった。
シリーズ装備はハイの次はエリートらしい。
「炎の魔道具?」
「おすすめの魔道具以外も販売開始ということさ」
玉木さんのフェアリードレスとかはおすすめだった。
猫の手の主人が気に入った相手にはおすすめ商品を提供しているらしい。
服部領主の槍とか九条先輩の刀とか。
ただ装備品だから魔道具とは違うのか。 東雲市役所で使っていた物がそうか。
「汎用型の魔道具は誰でも使うことができるよ。ただし核となる魔晶石に魔石を吸収させる必要があるね」
「ふむ」
「専用型の魔道具は魂魄に紐づけされるよ。 紐づけされた本人しか使うことができないが、魔力を魔石の代替えとして使うことができるね」
俺のガチャアイテムみたいだな。
汎用型のほうがお値段は高いようだ。
戦闘に役立ちそうな物から、篝火、炉、焜炉、松明と生活に役立ちそうな物まである。
燃料問題も深刻だから魔石で補えるならありがたい。
夏が終われば冬がやってくるのだから。
◇◆◇
服部領主にラインナップ更新を伝えてから『獄炎のケルベロス支配領域』にあるゴーレム砦にやってきた。
「鬼頭。 もう少し強くできない?」
「……」
やってきたのだが……訓練場として造った広場にゴーレム兵の残骸が。
俺のゴーレム兵ちゃんを破壊し尽くした女剣士が要望を言ってくる。
放つ剣気が『できないなら代わりにお前が相手をしろ』と訴えてくるようである。
これはゴーレムマスターとして負けられない。
違った、俺、ガチャマスターや。
残骸を集めてゴーレムブロックを使って修理していく。
どうすれば九条先輩に負けないゴーレム兵を作れるだろうかと試行錯誤しながら。
「シンクくん」
女神の笑顔で木実ちゃんが寄ってきた。
ミサと葵もいる、今日はこっちで戦闘していたようだ。
「新しい装備ですか?」
エリートワイルドドッグシリーズを一通り買ってきた。
ゴーレム兵にどうにか組み込めないかと試行していたのだが、難しい。
しかしこの装備は三人には微妙な装備かもしれない。
ミサはもちろんだが、葵も以前に渡したトランクケースの中にあった魔女装備で身を固めている。
SRランクのアイテムの物だからそれなりだろう。
「ゴツゴツですねぇ……」
木実ちゃんが手に取ったメイスはなかなかに物騒である。
撲殺女神木実ちゃんになってしまう。
今は魔法メインだから微妙だしね。
はやく彼女専用の装備を当てたいところだ。
「ちょっと、恥ずかしいですね?」
エリートワイルドドッグ装備は赤と茶色を基調とした蛮族チックであり、しかも露出が多い。
木実ちゃんのマショマロ超おっぱいが零れてしまう。
これはNGである。
男どものゲスな視線を独り占めしてしまうからな。
「木実……破廉恥」
「ええ!?」
木実ちゃんの破廉恥な格好を堪能していいのは俺だけなのだ。
ベッドの上だけでお願いします。
「わ、コンロ?」
ゴーレム砦内に炊事場を作ってある。
水と排水は考えて作ってあったが、肝心の火は各自で用意してもらっていた。
しかし炎の魔道具を手に入れたので設置する。
魔石は各自持ちになるが、利便性はさらに上がるだろう。
「ん……いい匂い」
「スパイシーな香りね!」
ワイルドフリートとヴァラホンも買ってきた。
スパイシーな香りがするのは大きな葉に包まれたワイルドフリートだ。
パタラシュカのような料理であろうか?
まだ葉の包みを解いていないのに、非常にお腹の減る良い匂いが漂っている。
「シンクっ、早く開けましょ」
背後から腕を取るミサがわんちゃんのようにクンクンしている。
木実ちゃんと葵も興味津々のようなのでさっそく開封してみよう。
「「「わあ!」」」
肉だ。
唐揚げ?
いや大きな骨付きのフライドチキンだ。
赤茶色の辛そうな見た目でスパイシーな匂いに溢れている。
これは美味しそうである!
もう食べる前からわかる。
だって涎が溢れてくるもの。
「ねっ、シンク、早くたべましょ?」
「シン、食べる」
「美味しそうです!」
クフフ、いっぱい買ってきたので焦らない焦らない。
一人に一つ葉の包みを渡してあげる。
「「「わああ!」」」
さっそく葉の包みを開けると三つ分の匂いの爆弾が解き放たれた。
2度目だというのに良いリアクションの奥様達。
やはり肉とスパイスは偉大である。 何の肉なのかは考えてはいけない。
「む」
がやがやと、外が騒がしくなる。
ゴーレム砦にはそれなりに東雲東高校の人達も来ている。
みんなが美味しそうな匂いに気が付いたのだ
「肉~」「肉のにおい゛ぃ~」「に゛ぃぐぅ~」
そんなお肉ゾンビの声が聞こえてきたので、俺は慌てて米を炊く。
だってこれ、絶対お米欲しくなる奴だから。
ちなみにヴァラホンは赤茶色いブロッコリーでした。
茹でて食べたら美味しかった。
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