三百十五話:玉木様
「玉木様っ! ――――そのお姿は一体!?」
「似合うかしら?」
「はっ! 美の化身たる玉木様には美しいなどの言葉は無粋でありますが、ここに完成された美を見た高揚感に溢れております。 まさに至上。 これ以上の美など存在するはずもなく、玉木様の慈悲深さ、愛情深さが溢れ出た究極のお姿であると自負いたします」
あ、コイツ、ロリコンだ。
と、玉木は少し引いた。
しかしロリ巨乳エルフの姿は中々に好評のようだ。
大人バージョンでは少しキツイ印象もあったが、ロリ巨乳エルフバージョンではなんだか子供が背伸びしているようで可愛らしさに繋がる。
玉木は新たな層の信者を獲得した。
「あれ、玉木さん、髪伸びました?」
「……そこ?」
たしかに髪も伸びたけれど、明らかに背も縮んで幼くなっているのに、と玉木はジト目でミサを見た。
「ん、んん? 背も縮みました? いや、でも、胸が……え?」
ミサは混乱した。
玉木は混乱したミサを放置して歩く。
エメラルド色の透き通るようなさらさらの髪の間から、笹の葉のような長い耳が出ている。
忙しく作業する者たちは誰もがその手を止めて、彼女が歩いて行くのをただただ見送った。
「米子さん、今日も特訓お願いできますか?」
「あら、玉木ちゃん。 もちろんですよ」
薙刀の達人、米子さん。
曲がっていた腰は凛としてまっすぐとなり、健康的な食事と木実ちゃん特製元気水の力、それに魂魄レベルの上昇もあって若返っている。
50代前半と間違われても不思議ではなく、その薙刀捌きは現役時代を凌ぐほどの腕前で魔物を倒し続けている。
『
薙刀の米子、ゲリラ戦の清、豊作の佐助。
東雲東高校にて縁の下の力持ちとして活躍している主要メンバーの一人だ。
「面白い得物ですね?」
「はい。 手に馴染みます」
碧色の竹のような薙刀。
刀身の部分も木製であるが綺麗な波紋が浮かんでいる。
鋭さがあり良くしなる、そして魔力も纏える。
神駆のガチャアイテムのように魂魄に紐づけされており、玉木のハイエルフ時専用武器である。
「軽そうですが、不思議な力で補えそうですか? しかし通常とは違う運用をしないとですね」
薙刀の威力は刀身部の重さが重要だ。
「はい。伸ばしたりもできるんです」
「あら、面白いですね。 私も『がちゃがちゃ』を回したら手に入るかしら?」
「ふふ、面白い物が出ると思いますよ?」
真面目な米子はギャンブルにも似た『ガチャ』には手を出していなかった。
人をダメにするのは大抵、酒と女とギャンブルだと知っているから。
「ありがとうございました」
米子との訓練を終えた玉木はお礼を言ってその場を後にする。
身体、能力、武器の変化を確かめるように、新たな戦い方を模索する訓練は有意義だった。
「お疲れ様です。 玉木様」
「ありがと」
「もったいなきお言葉!」
そして次は料理研究という名の、布教活動だ。
ママノエ料理を研究しながら信者に食事を振る舞うのだ。
最近では藤崎駐屯地での復興活動も行い、そこでも炊き出しをしている。
信者から受け取ったタオルで汗を拭いていると、神駆がやってきた。
「あら、シンク君。 逢いに来てくれたの?」
「うむ」
「嬉しい♡」
普段見せない笑顔で旦那様を迎える教祖様。
信者たちはその姿を見ながら思うのだ、『尊い』と。
よく訓練された狂信者がすでに誕生していた。
「コンロの魔道具? 便利そうね~」
それに彼と会えば教祖様の笑顔は200%増しだ。
「先に行っているわね」
「「「玉木様っ!?」」」
その笑顔は普段の冷笑とは違う温かな表情で、心が締め付けられるほどに愛おしく狂おしい。
「今日は新作を作るわ!」
羽の生えたように心の弾む玉木は、本当に半透明な羽を生やし飛んでいく。
煌びやかな羽を羽ばたかせ、まるで妖精のように自由に気ままに飛んでいく。
「「「玉木様ぁああああああ!?」」」
丸見えです!
と、心の中で叫びながら狂信者たちは玉木を追いかけるのだった。
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メニュー
玉木 由佳莉
★魂魄
魂魄ランク:エリート
保有魂魄:17629ポイント
ジョブ:【見習い妖精女王】
★スキル
スキル購入
スキル:【魔物寄せLv.3】【槍術Lv.3】【身体強化Lv.3】【魔力強化Lv.5】【ロリ化】
固有スキル:【森の
ジョブスキル:【精霊魔法強化】【知力強化】【上位精霊契約】
★魔法
魔法購入
魔法:【精霊魔法Lv.5】
固有魔法:【ロリトランスフォーム】【ティターニア】
★マップ
『東雲東高校支配地域』
★称号
【悪神の加護】【試練を越えし者】【魔族の好物】【ジャイアントキリング】【女王様】【精霊王の加護】
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