三百十七話:その胸部装甲はっ!?

「シンクくんっ」


 この声は玉木さん。


「えへへ、久しぶりだね」


 やはり背後からの圧力、もとい弾力は玉木さんの玉木さんだ。

 だがなんだかいつもより位置が低いような。

 それと声色も違う気がする。

 あと、昨日会っているから久しぶりではないきもするが。


「ん?」


 髪、伸びました?

 というか背が縮んで……ああ、【ロリ化】か。

 しかしその胸部装甲はっ!?


「シンクお兄ちゃんって呼んだ方がいい?」


「うむ!」


「ふふふ、シンクお兄ちゃんっ」


 あざと可愛い。

 これがあざといの極致か。


 しかし以前の【ロリ化】した姿より少し大人びたかな?

 いや胸部装甲がではなくてね? 以前が9歳ぐらいだとしたら、今は12,3歳ぐらいといったところだ。

 緑玉色エメラルドの髪も伸びていてロングヘアーに。

 ショートヘアの活発な雰囲気も似合っているけれど、美人はやはりロングヘアーも良い。


 【ロリ化】の熟練度でも上がって自在にできるようになったのだろうか?


 あまり使っている様子はなかったけれど。


「シンクお兄ちゃんは今日は何をするの?」


 薄緑色のメイド服。

 ガチャ産のアイテムであるそれをロリ化した彼女が着ると、服までロリ化する。 ロリのゲシュタルト崩壊が。

 以前の観光デートで着ていた服だね。

 パンダの絵柄が随所に散りばめられ、ホワイトブリムの両サイドにパンダをあしらったリボンがキュートである。

 パンダ鞄まで斜め掛けにしているのは、お出かけしたいなとのアピールだろうか?


 今日は特に予定もないので構わないですが。


「嬉しい!」


 抱き着いてきた玉木さんから甘い香りがする。 

 いつもとは違う香りだ。


 今日は玉木さんとドライブデートだ。

 コースは以前と同じ『首都大阪』方面へ。

 一応『監禁王の洋館』の個室の鍵で移動もできるが、ドライブデートが重要なのだ。


「ふふふ」


 俺の前に座らせて走る。

 夏の日差しがきついけど大丈夫かな?


「大丈夫よ、心配してくれてありがと」


 俺の胸の中で好き勝手にしている玉木さん。

 『ブラックホーンシャドウ』の自動運転もあるし空飛んでるのでまぁ危険ではないが。 違う部分は危険だが。 いやいやその姿ではマズイ。 倫理的に。


「大丈夫。 合法ロリよ」


 合法。

 なるほど、大丈夫そうだ。


 夏の空。

 二人でいちゃいちゃしながらドライブデートを楽しんだ。

 この開放感は癖になりそうだな。



『金剛王牙カリュドンの支配地域』



 ミニオークの軍勢はあまりみないんだが、闘争地域ではなく支配地域なんだな?

 どういう基準なんだろうか。

 なんにせよ、支配地域が多いのはよくないはず。

 少しづつ削りたいが、やはり遠い。

 『首都大阪』さん頑張ってくれないかな~。

 

 支援という名の押し売りでもしよう。


 あとたこ焼き食べたい。

 という訳で『首都大阪』に向かった。


「なっ! なんやてーー!?」


 向かったのだが、出迎えてくれた女性。

 オレンジがトレードマークなのか、随所に取り入れた個性的なファッションの女の人が驚きのリアクションで俺たちを指さす。

 たしか、アキコと呼ばれたノリの良い女性だ。


「なんちゅうーー、成長力ッ!! と、東京もんはバケモンかッーー!?」


 玉木さんの玉木さんを指さして恐れおののいている。

 ほんとオーバーリアクションなお姉さんだ。

 たしかに以前来た時からたいして時間が経っていないのに、急成長だよね。

 前のロリ化はツルペタだったから。


「で? 何しに来たんや?」


「ドライブデートよ」


「デートかいっ!?」


 さすが大阪人、リアクションが大きい。


 前回はたこ焼きを渡されて中には入れてもらえなかったが、今回は案内してくれるかな?


「ええで、ええで! 特におもろいもんもないけどな!」


 俺は玉木さんと顔を合わせ頷く。

 元気なお姉さんの案内で『首都大阪』の観光デートへ行くのだった。



 


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