三百八話:地下へ
遠く離れた暗闇を赤い光が照らした。
「始まったみたいっす!」
チャラい自衛隊のお兄さん……寺田さんたちと行動を開始する。
「大きい檻はこっち、演習場の外れの方っす!」
京極指令の部屋以外にもいくつか【
ガチャの設置代金を貰いに行く時にチョロっとね。
不可視化できるのでバレていないはずだ。
「地下化空間なんてなかったっすから、きっとそこに皆をおかしくしてしまった原因があるはずっす!」
栞が発見してくれた見通せない地下空間。
自衛隊に元々有った物ではないらしい。 それに寺田さんたちが居た頃にはなかったとも。
誰にも気づかれずにどうやって造ったのだろうか?
そして異変の原因を探るため、いや、排除するために俺たちは行動を開始する。
「鬼頭さんが来てくれてよかったっす! 百人力……どうしたっすか?」
「……」
梅香隊員の件もあるし、さすがに避難している大勢の人を危険かもしれない場所に放っておくわけにもいかない。
助けに協力するのはやぶさかでもない。
というか東雲東高校の近くでとんでも集団が産まれたら嫌だし。
しかしだ。
「どうされました、若?」
なんで俺の方は忍者ばっかりなの?
山木さんが大将なんだからそっちいけよ。
「ふふふ、若と呼ばれているのかい? 君」
そしてこの人……。
なんでこの人まで……。
カオスだ。
「あの檻がどうやって、どこから運ばれたのか不明だったすけど、地下からだったら納得っす」
違和感は残るがそういった能力もあるのだろう。
消えてしまった人たちも地下に捕らわれているのかもしれない。
夜の演習場は真っ暗だ。
誰も作業などはしておらず、大きな檻が鎮座している様子は不気味すぎる。
「鬼頭さん!」
中を確認すると誰もいない。
誰も出てこない檻で人がいなくなるのだ、これは確定といっていいだろう。
「ハッ!」
俺は檻の鉄格子を両手でもち力に任せて開く。
ギィイ!と大きな音を立てて鉄格子が曲がり、外れた。
静かな広場に金属の歪み落ちる嫌な音だけが響く。
「「「……」」」
隠密活動中なのに良く無かったよね。
でもだれも来る様子は無い。
今頃は派手に動いている山木さんたちのほうに注目が集まっているからだろう。
俺たちは檻の中に入り中を検めるが、特に怪しい所はない。
「地下への入り口はないな?」
「そうっすね……」
じゃあどうやって収監されていた人たちは消えたのだろうか?
「ん?」
このトイレ、動きそうだな。
えぇ……嫌だなぁ……。
見つからなかったことにしよう。
「ん? このトイレ、動きそうっす!!」
寺田ぁあああああああああああああ!!
「ふむ……」
ほら無表情ながら凄い嫌そうな不機嫌オーラ出しちゃったじゃないかぁ!
「汚されるなら君に汚してほしいぞ」
ダメだこの人、はやく終わらせて帰ろう。
「じゅるリ……」
冷たく鋭い視線が俺の尻に突き刺さる。
うん、視姦しないで?
女性は胸とかお尻を見られていると分かるらしいが、男だって見られていたらわかるのだ。
狙われていると!
「うっ、えぐい臭いっすね……」
すでにブラックホーンオメガのフルフェイス機能をオンにしているので臭いは感じない。
ただ精神的にはかなり嫌だが。
俺たちはトイレを外して仄暗い地下へと降りていく。
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