二百七十九話:SP補充といえば……
冴えわたる。
「――――シッ!」
地獄の事務作業から解放された喜びに体は打ち震え、美愛の剣技が冴えわたっている。
栞の不在から五日が経過していた。
すでにペンダコは消え、刀を振る手にも違和感は感じない。
『ォオオオオッ!』
下半身は馬、上半身は首無しの騎士。
かつて美愛を瀕死の重傷に追いやった、デュラハン型のアンデットだ。
ランスを構えどこから出しているかわからない唸り声を出し、猛進してくる。
「ふっ」
美愛の表情に変化はない。
呼気を一つ。
それだけすると、自然体で迎え撃つ。
『ォォ』
魔物の纏う不吉な瘴気は、威圧感となって美愛の体に襲い掛かるが、彼女はそれを受け流す。
知っている、その城門を破壊する程の威力を秘めた一撃を。
知っている、その人馬一体を体現した俊敏さを。
知っている、その人外の底なしの体力を。
「――――」
美愛の持つ反りの大きい刀が、ランスの一撃を受け流す。
跳ねるように刀は飛ばされ、いや、美愛自ら跳ねさせた。
まるで怪物の突進一撃の力を、自らの力に転用するように。
刹那の絶技。
「『霞鳥』」
風見鶏のように。
くるりと回り通り抜ける。
『オオ……?』
デュラハン型の上半身が背から斜めに斬り裂かれる。
首無し騎士は斬られたことにすら気づかず、下半身が前に進むのを訝しげな唸り声で見送った。
「ふはっ、……はぁぁ、はは」
世界と隔離されたよう感覚。
ゾーンへと至っていた美愛の意識が戻り、思わず笑みを漏らす。
それは剣士の狂気の笑み。
「ニヒヒ。これならっ、茜ちゃんの剣速にも対応できそうかな!」
一度も負けたことのなかった『九条 茜』に、会議の後の一戦で負け大泣きした美愛。
悔しかった。
負けたことがではない。
大きな成長を遂げた彼女と自分を比べて。
どれだけの死地を乗り越えて来たのか、想像もできない。
そのまっすぐで強さに一途な剣筋に、同じ剣士として嫉妬の涙を流したのだ。
「おじさん達は大丈夫かな~?」
新たな仲間、ヘラクレス隊の面々のいる方に視線を向ける。
アンデットの襲撃の数は変わらないが、黒い個体が多い。
元から戦っているお嬢様学校の生徒たちの部隊ですら手こずる。
物理的な攻撃が効きづらいのだ。 他部隊で足止めしヘカテ隊が魔法で止めを刺す。 その間に城門を目指し進んでいくアンデット達を後ろに通してしまう回数が増える。
新人であるヘラクレス隊にも活躍の機会が増えているのだ。
「おおー。 頑張ってる」
美愛は彼らに稽古をつけていた。
稽古といっても無駄な時間は過ごしたくない。
だから彼ら全員に襲い掛からせたのだ。
美愛が持つのはただの竹刀であったが、彼らにはメインの武装をさせて。
最初は、それはいくらなんでもと思っていたヘラクレス隊の面々であったが、竹刀とはいえ叩かれると滅茶苦茶に痛い。
しかも操るのは剣術馬鹿の美愛だ。
やらなければ
美愛の垂れ流す狂気に比べれば、ただのゾンビやスケルトンなど恐れるに足らず。
「うおおおおおお!」
「せい!せい!せい!」
吹っ切れたおじさん達は奮闘する。
若い頃を思い出し腹の底から声をだし、生き抜く。
共に戦い汗を流し水浴びをしてくれる、美少女。
溌溂な笑顔でこの変わってしまった世界を生き抜く少女のエネルギーに触れて。
「頑張れー!」「無理しないでね!」
防衛は長い。
部隊はメンバーを入れ替え食事や休憩を取る。
いつもであればお嬢様学校の生徒たちが食事の準備や、怪我人の手当てをしているのだが、その人員さえも戦闘面に駆り出されている。
『一ノ瀬 栞』不在の影響は大きく、人員を割くことでしか対応ができなかった。
その穴埋めに、避難してきた人たちも協力してくれていた。
たとえ戦闘には貢献できなくとも、サポーターとして動いてくれる者が増えるだけで皆の負担は大きく減るのだ。
それにヘラクレス隊やサポーターの人たちの声が、お嬢様学校の避難場所の雰囲気を良くしていた。
テレビもネットも何もない状況。 人々の不安は日々大きくなっていく。 栞による情報統制は混乱のない統治を可能にしていたが、人々の不安を取り除くことはできなかったようだ。
信仰心が足りなかった理由はその辺りにあるのかもしれない。
しかしチャンスである。
この不安を領主代行ツインテが見事に払拭することができれば、新たな新興宗教……ではなく、『神鳴館女学院付属高校支配地域』に信仰心が芽生えるだろう。
「うんうん、いいねいいね! でもあれだよね? 一回派手にやられたほうが、強くなるよね? 雑草みたいに。 そうだ、遠征しようかな? 黒い渦を潰せば、黒い個体も消えるってベルゼ君言ってたよね~」
誰だ? コイツに領主代行などという
◇◆◇
沖縄本島奪還作戦を本格的に決行する前に必要なことがある。
>>>裏バニーを発動しますか?
「イエス」
「おわ!?」
ミサの着ていた可愛いドレス型のバニー服が、えちえちなバニー服になってしまう。
さきほどまで露出していた肩はぴっちりとしたカバーに覆われ、足も絶対領域を醸し出すハイニーソ。
胸部分は露出されており兎のニップレスはピッタリと乳首に張り付いている。
ほぼ形は分かるのでつけている意味を問いただしたい。
ほっそりと鍛えられた腹筋は見え、おへそも丸出しに。
さらにその下は……なんていうんだっけ?
細い布がミサの割れ目をカバーしお尻には兎のマーク付き。
下着の見えない下着? 前張り……TバックがIバックになった感じ。
しかも布面積は狭く、黒光りする宝石のような丸い物がある場所についている。
えちえち裏バニーさんだ。
「ちょっと、シンク?」
「ん」
「もう……しょうがないなぁ♡」
デレるのはやいな。
頭を撫でてあげただけで、頬を掻きながら顔を赤く染めている。
「しゅ、しゅるの?」
ちょっと期待したような瞳に申し訳ないのだが、本番はしないのだ。
そもそもその服は本番はできない仕様だぞ。
超強力な防具であるが、呪いの装備みたいな物だ。
「んっ」
もっとも効率的にSPを補充できる、恐ろしい服なのだ。
SP……『ブラックホーンシリーズ』の核であり俺とミサの生命線だ。
その補充には『処女の性エネルギー』が必要である。 魔石でも代用はできるがコスパは悪い。
以前であればみんなからおっぱい契約で簡単に補充できたのだが、今は補充できるのが葵とミサだけである。
そして『ブラックホーンシリーズ』であるブラックホーンバニーを持つミサが、もっとも効率良くSPを補充できるのだ。
その為の機能が『裏バニー』なのだ。
「んっ、ふぁ♡ んぅっ♡」
キスをしているだけでSPが補充されていくのがわかる。
つまりミサはキスだけでえっちに感じているということだ。
「あんっ」
ウサギのニップレスを弄る。
ぷにぷにの感触を楽しんでいると、ウサギさんの表情が変わってくる。
突起に押されたような表情だ。
(いいぞ!)
キスをしながらウサギを弄っていると、どんどんSPが補充されていく。
しかし全身装備プラス、シャドウとバニーの分のSPだ。 デックイグニスでも使用するからフル充電しておきたい。
「あっ」
今は監禁王の洋館の居間にあるソファの上だ。
ミサのお気に入りの場所で、近くのテーブルには少女漫画とお菓子が置かれている。
もうね、引きこもりのお嬢様のようによくここでグデッとしているのですよ。
ちゃんと個室もあげてあるのに、こっちのほうがいいらしい。
「熱いの……当たってるっ、んっあっっ!」
俺がソファに寝る形でミサが上に乗る。
カバー付き炎槍がミサの黒い宝玉に擦るとガクガクと腰を震わせた。
ちなみに俺もブラックホーンオメガを着用している。
こいつは感度上昇とSP補充、それに避妊具も兼ね備えている。
「しんくっ、動いちゃだめっえっ♡」
ちなみに動いてるのはミサなのだが、気づいていないのか?
あっあっあっ、と俺の腹の上でミサが艶っぽい声をだしている。
俺の大胸筋に置かれた手も震えており、相当感じているようだ。
ビンビンにSPが溜まっていくぞ!
「だめっ、なにこれ!? あちちゅいのっ、中がっ、――――あああああああっ!!」
黒光りする宝玉には快感を増幅させる機能があるようだが、【
おそるべきは固有スキルの力よ!
「もうっ、壊れちゃうよぉおおおおおお!? ばか、ばかっ、ばかっシンクぅううううう♡」
ピョンピョン跳ねる裏バニーちゃんが可愛いので、SPが満タンになってもしばらく愛でました。
――――――――――――
いつもお読みいただきありがとうございます♪
応援、フォロー、レビュー、サポーターギフト、感謝感激ですm(__)m
近況ノートにも書いたのですが……、仕事が忙しく更新速度が落ちそうです。
いやぁ、みなさん、やたら金遣いの荒い同僚がいたら近づかないほうがいいですよ(笑)
なるべく更新頑張ります (*゚ェ゚*)
7時ー22時の日とかはできないけどね!
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