二百七十八話:マンゲモン
はい。
花嫁様たちに囲まれました。
「油断も隙も無いわね」
「申し訳ありません……」
どうやら警戒されていたようである。
女性同士そういった機微が分かるのだろう、……俺のお猿さん具合を心配してたわけじゃないよね?
「さすが、栞ちゃんね」
「私の千里眼からは逃れられません」
【千里眼】の無駄使い!
ドヤる栞さん可愛い。
「シネリキヨ様は悪くありません。 私が無理矢理に、その炎を頂き、お子を頂戴したいと体が求めてしまいました」
「……誰かに強制された、わけじゃないのね?」
「はい。 私の意思です」
木実ちゃんと栞はわからないといった表情だが、玉木さんは何か考え込むような表情だ。 うん、あまりよくないことを考えている表情だ。
ちなみにミサと葵はきていない。 あっちでなんか踊ってる。
「条件があるわね。 この土地をしっかりと治めること。 具体的には後で領地化して領主になってもらうわ。 そうすれば、シンク君からお情けを頂けるわ」
「っ本当ですか、マンゲモン様!!」
「……本当よ」
『マンゲモン』と言われた玉木さんが一瞬嫌そうな表情をしたが、スルーした。
というか俺の貞操が管理されている。 そこに俺の意思など皆無である。
まぁ瑞那さんほどの美人、頂けるならいただだだだ。
「シンクさん?」「シンクくん?」
お尻をつねられている。
ハネムーンに来ているのに他の女のことを考えるなんて最低ですよね。
すいませんでしたー!!
ご機嫌をとるために3人に頑張ってご奉仕することにした。
「あれー、みんなどこいったのら?」
「……置いてけぼり?」
「皆様は一度ニライカナイにお戻りになられました。 ……明日から本土奪還作戦を頑張りましょう!!」
「「「ちばりよ~!」」」
「「ちばりよーー!!」」
◇◆◇
>>>領地レベルが2に上昇しました。
そのアナウンスと共に、領主の脳内で怒涛のアナウンスラッシュが始まる。
「わっ!?」
>>>各施設の最大レベルが2に上昇しました。
>>>新しい施設が解放されました。
>>>エンチャントが解放されました。
>>>領地特性を解析……『水』『炎』『神聖』『強欲』関連の付与率UP。
>>>上級魔結晶または神石の吸収を確認しました。
>>>魔素回収施設を開放しました。
>>>……宣戦布告システムの解放を確認しました。
>>>一定のリソースを支払い魔王城の一部機能を一定時間停止することが可能です。 リソース量によって効果変化します。
「ななななっ!?」
あまりの情報量にパンクしそうになる服部領主。
彼は日々の日課である回収した魔石を領地のコアであるルベライトの魔結晶に吸収させていた。
そこで神駆から受け取った、燃え盛るような特大の魔結晶をコアへと吸収させる。
【猫の手】で売り払うこともできたが、それはなんだかもったいないような気がして。 それなりにゲームに精通する服部だ。 レアな物への嗅覚は鋭い。
カンに従うように、その特大な魔結晶をコアへと吸収させた結果が先のアナウンスラッシュである。
「やっちゃったー!?」
後悔先に立たず。
良い武器が手に入ったので強化しまくったら、要求スペック高すぎてしばらく装備できない、そんな感じであろうか?
とはいえ、神駆から受け取った大事な魔結晶を売り払うなんてやはり考えられないので、遅いか早いかだ。
ならば問題はないだろう。
ただなんとなく、精神的な負担は増えた気がする。
「やっぱり、とんでもない代物だったんじゃ……」
燃え盛るような特大の魔結晶。
先の野犬による大防衛線で神駆が討ち取った敵将が落とした物だ。
遠目であったがあの死闘を見ていた服部は思い出すだけで胸を熱くする。
そして神駆が命がけで戦い得た大事な物を渡された時は、喜びよりも震えて落としそうになったものだ。
「領地レベルの上昇か……ただ、今上がっても……」
レベル1の状態でも持て余している。
神駆という規格外がいるため、何もかも進むペースが早いのだ。
いっては悪いがごく平凡な服部領主には荷が重いだろう。
なにより彼は善政ではあるが、ゆっくりとした、悪く言えば効率は悪い政策である。
「ええと……」
紙とペンを取り出し、思い出しながら書き起こしていく。
ログ機能があればいいのにと唇を尖らせながら。
「魔素回収施設かな?」
ゲーマーのカンが告げている。
これは、人類存続の為に必須であり革新的であり、チートであると。
領主メニューを開き施設の概要をチェックし、決定する。
「……反撃、開始だ!」
あらゆる神々の、
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