二百四話:残り1日
魔結晶が欲しい。
「ふむ……」
欲しいと思うと手に入らない。
強敵か中継拠点を潰すかだがどちらもリスクはある。
前に出会った超大型みたいな楽なのいないかな?
黒髪ロングに会う前に集めておきたい。
別に急かされていないんだけど、早くした方がいいしね。
東雲東高校の領地拡大にも使うらしいから、需要が半端ない。
「あと一日」
俺はガチャを起動しながら呟く。
『ガチャSR以上排出率UP(3日)』の期限が迫っていた。
神々の祝福を使ったことに後悔はないが、もっと魂魄ポイント貯めておけばよかった。
まぁ後悔は先に立たない、いつでも。
リミテッドガチャにはいくつか種類がある。
黒のガチャは期間限定のため終了。
ハウジングガチャは生活面にめちゃくちゃ優秀だが、戦闘に役立つものは期待ができない。
一応SSRも出たし、R以下でも有用な物が多いから後でもいいかと思ってきた。
逆に装備はやはり高レアリティが優秀。
最低でもSRは欲しい。
ヴォルフライザーやバトルタキシードなど助けられた装備はSRだ。
SSR装備はもちろん高性能だしね。
「これか……!?」
排出率アップガチャか当たり確定天井ガチャ。
当たり確定天井ガチャは、最高ランクがSSRまでしかないようだ。
しかし好きなSSRランクを選べる。
さらにガチャの筐体の中身が補充されないという神仕様。
引けば引くほどSSRの出る確率が上がる……はず。
俺は知っている……このガチャの闇を……
確率が操作され……最後の一個まで……でなっ、う、頭が……
「はぁ……はぁ……」
しかし、狙ったSSRを出せるのは良いのでは?
筐体には200個入るようなので、最後の一回で引いたとしても2万魂魄でSSRをゲットできる計算だ。
お得だなぁ……?
全てのSSRから選べるわけではなく、限定された中から選ぶようであるが。
「排出率アップガチャ……」
そして問題はこいつだ。
字面だけみると「いいじゃん」と思うのだけど。
内容の後ろにそっとつけられた※が凶悪すぎる。
『SR以上排出率アップ!』 ※UC,Rは排出されなくなります
それを見た瞬間どういことかよくわからなかったが……、つまりはCかSR以上かという超ギャンブルガチャじゃねぇか!
高級ランジェリーか高性能装備の二択!?
狂ってやがるっ!!
まぁコモンランクからも下着以外もでるけど、たいていハズレよ。
「く、くく、くはは」
嫌いじゃない。
ガチャはそうでなければ。
当たり確定とか生ぬるいガチャクソくらえだ。
神仕様? いや、きっと罠だね! 数々の地雷ガチャを踏んできた俺のカンが囁いているぜ。
ラストチャンスは排出率アップガチャに賭ける!
◇◆◇
「ガルァッ!」
久しぶりに駄犬狩り。
東雲東高校の周辺の駄犬は皆が狩っているので、さらに奥へとやってきた。
黒炎の怪物のいた中継拠点の先に進む。
「シッ!」
気のせいか、少し体格のよくなった駄犬を両断する。
魚頭の魔王、『千棘のマーマンロード』ダアゴンを倒してからは、駄犬たちの襲撃も減った。
支配地域を伸ばす方向を変えたのかもしれない。
「……」
広い地域に無数の魔物の気配を感じる。
この先はそれほど民家は密集していない。
田んぼの広がる道に、農家や小さな工場と田舎の風景が続いていく。
果たして生き残っている人たちはいるのだろうか?
もしいれば救助して連れてこようか。
人類すべてを救うなんて到底無理だけど、手の届く範囲くらいは助けてもいい気がする。
なんにせよ駄犬狩りをしつつ中継拠点を叩く。
そして夜はアンデット狩りをしてメインディッシュに排出率アップガチャとしゃれこむ。
今日も一日頑張ろう。
俺の心は青空のように穏やかだ。
やることが決まったからだろうか、それとも昨日スッキリしたからだろうか?
◇◆◇
おはようと挨拶すると二人はニヤニヤ思い出すように笑っていた。
「~♪」「ふふふ♪」
「二人ともご機嫌ですね?」
何かいいことがあったのかな?
「……部屋の使い心地が良かったんじゃないの?」
ちょっとふてくされたようにミサちゃんが言う。
「お部屋、凄いよね。 シンクくんにもう一回お礼言わなきゃ」
「ソウダネ」
一回だけじゃない、シンクくんにいっぱいお礼を言いたいよ。
「……」
最近あんまり一緒にいられないな。
避難所にも活気が出てきて、魔物にも対抗できるようになって嬉しい。
シンクくんも忙しそうだしわがままいっちゃダメだよね……。
「よーし、頑張るぞ!」
帰ってきたらおかえりって笑顔で迎えてあげたい。
卵も貰ったからプリンでも作ろうかな?
おっきな卵だからバケツプリンとか。
「えへへ」
とっても甘くて美味しいの、作っちゃうぞ!
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