百九十話:
銀色に輝くカードが肉球弾に捕らわれた。
「SSRキタァアアアアッーー!!」
キラキラとラメの入った銀色のカード。
SSRランクの当たりだ。
流石は神々の祝福。
SSRを持ってくる!
「むむむ!?」
やばいなにこれ?
全然絵柄じゃ想像できない。
さっきの噴水みたいに固定されても嫌なので、東雲東高校に帰ってから具現化しよう。
今はただ銀の輝きに酔いしれる。
「はぁぁ……」
俺は大きく深呼吸をした。
ぶち上ったテンションは徐々に下がっていく。
心地よい疲労感。
手の中にはSSRを引き当てるまでに引いた色とりどりのカードがあった。
「お兄さん。 これ、なにっしょ?」
さぽと呼ばれたギャルが起きて、噴水を興味深そうに見ている。
「飲めるの?」
「うむ」
「凄いっしょ!」
ガサゴソと荷物を漁りコップを出してきたさぽ。
「おいしーー!」
躊躇なく水を掬い飲む。
噴水の水は冷たくて美味しかった。
はたしてそれだけか? SRランクだしなにか他にも効果があっても不思議ではないが。
「助かったっしょ……。 もう水のペットボトルを見つけるのも大変だったっしょ」
すでに世界が変わってしまってから一月以上は経っている。
都市サバイバルを続けていたら物資は枯渇するころかもしれない。
まして【猫の手】も見つけられていないようだし。
藤崎女子高の生徒の装備はみんな現代的な物だった。
【猫の手】の装備はファンタジー感があるからすぐわかる。
「これって無限に出てくるっしょ?」
「魔石」
魔石を台座にある宝石に当てる。
「あ、あの石やっぱり魔石だった。 いっぱいとってあるっしょ」
バッグいっぱいに詰められた魔石。
それにドロップアイテムもいっぱい取ってあった。
「みんな興味なさそうだったけど、何か使い道あるかなって取っといたっしょ」
喋り方は独特だが結構しっかりしているようだ。
バッグいっぱいに詰めたドロップアイテムのほうを渡してくる。
「お兄さん体に興味なさそうだから、お礼っしょ」とちょっと頬を膨らませて渡してきた。
いや別に興味がないわけじゃないよ?
次の満月までに6万クレジットを貯めたいのでありがたく受け取る。
「どうやって脱いだらいいっしょ?」
さぽは噴水の水を使って体をタオルで拭き始める。
手と足をタオルで拭う。
絶対領域を作っていたスケスケ網タイツを脱いで拭う。
チラリとこちらを窺っているからたぶんわざとエロくしているんだろうな。
チャイナ服は脱げるが『貞操帯下着』は脱げない。
ちなみに貞操の危機じゃなければズラすことは可能。
「武装解除」
「武装解除、あっ、脱げるようになったっしょ」
「んんっ」
躊躇なく脱ぐのはどうかと思うよ?
おっぱいでかい。
ミサと違って全身程よく焼いている。
パイパンなのは剃っているんだろうか。
「……興味ないわけじゃないっしょ?」
メイクを落とした彼女は可愛い顔をしていた。
けどまたメイクをし始める。
「気合が入るっしょ」
戦闘民族かな?
「あー! お兄さんいたっ! 良かったぁ♡」
「アイリ、顔きゃぱいっしょ。 お兄さんが作ってくれたから、顔洗うっしょ」
「えーー!? 凄っ!」
作ったわけじゃないけどね。
アイリというギャルも点穴デトックスマッサージで落ち着いたのか、狂ったような感じはない。
ピンチを救ったせいか好感度は高いようである。
「めっちゃ助かる……。 ありがとう、お兄さん♡」
メイクを落としたらなかなかに美人さんなんだが?
二人ともメイクなんていらないと思うが、ギャルの矜持か。
さっと武装を終えた二人を連れ従い、校舎を歩く。
うーん、汚い。
不衛生はよくないと思います。
「う、掃除すれば良かった」
「頑張るっしょ……」
重傷そうな子にポーションを使いながら歩いていく。
校舎の窓は開けられて先ほどまで立ち込めていた淫臭いも消えた。
教室から聞こえてきていた声も聞こえない。
山木さんは無事だろうか。
「鬼頭君……!」
見れば山木さんたちも怪我人の手当てをしていた。
どこかすっきりとしたような表情の山木さん。
キマってた目元は柔らかく、悟りを開いたようである。
「ふっ、内緒にしておくよ?」
付き従うチャイナ服の二人を見てそう零す山木さん。
「やっぱり巨乳好きなんだね」じゃねぇよ。
なんもしてないからね?
誰に内緒にしておくのかな?
――――――――――――
お読みいただきありがとうございますm(__)m
コロナとインフルと出張と飲み会で投稿できない日があるかもです('ω')……
皆さん体調に気を付けてお過ごしくださいませ~
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