閑話:『藤崎女子高校』 『鬼鳴村』


 藤崎駐屯地のある藤崎市には二つの高校がある。


――ジョボボボボボボボ

 

「ふぉぉ……きもちぃーー……」


「おっさんみたいな声で立ちションすんなよ」


「我慢してたんだから、しょうがないっしょ」


 『藤崎中央高校』はかつて不良の溜まり場として有名な高校であったが、現在は少子化の影響で統合し普通の高校となっている。

 偏差値は低いが、不良だらけということもない。

 どちらかというと、コミュ症や無気力生徒が多い。

 昔のヤンキー漫画のように気合の入った不良はもう存在しない。

 高架下の壁や空き地などに過去の名残か、前衛的な落書きは多い。


「ほらっ、さぽのくせぇしょんべんで、ゴブリンども寄ってきたじゃん!!」


「はあぁ!? さぽのせいじゃねーし! アイリが臭いからっしょ!!」


 『藤崎女子高校』。

 全国最底辺の偏差値をほこる最恐の女子高である。

 まさに底辺中の底辺。

 円光パパ活当たり前のビッチギャルの巣窟。

 近年行われた藤崎女子による『童貞狩り』によって童貞を散らされた藤崎中央高校の男子生徒の被害は3桁数を超える。

 また昔のヤンキー漫画でしかみないような気合の入った不良もいる。


「おらぁああ!」


「ギャ!?」


「しねっ!しねぇ!」


「ギャ……」


 『神鳴館女学院付属高校』の生徒たちの見せるような連携など皆無。

 囲んで殴ってぶっ殺す。

 いもひいてビビった奴はゴブリンレイプ刑だからなと、怒声が飛び交う。


「あー返り血きもちわるっ」


「なんでゴブリン消えんのに血ぃきえんのよぉ~」


 テンサゲ~。

 返り血の浴びたワイシャツを脱ぎ捨てブラジャー一枚になるが、気にした様子などない。

 戦闘中もチェックのスカートから中身は見えていた。

 

「せーしも残るらっしいよぉー? ぎゃはは」


「うへー最悪っしょ」


 猥談交じりにゴブリンを殺すJKギャル。

 彼女たちは今藤崎市を散策中であった。

 日焼けした肌はまるで蛮族のようなメイクがされておりその手には各々が近接武器を持っている。 現代的な制服がなければ完全にアマゾネスである。

 まぁやっていることは略奪と殺戮なのであながち間違っていない。

 若い男を見つければおそらくレイプするだろう。

 彼女たちの性欲は高く、男は玩具にしかみえていないのだから。


「はぁーどっかに小池〇平君隠れてないかな~~」


「いねぇよ! いても鉄〇君似のゴブリンだよ!」


「はぁ萎え。 じゃあ鉄平ゴブリンでいいっしょもう」


「いいのかょっ」


 ビッチである。

 クソビッチは元気に藤崎市街地を探索している。

 藤崎駐屯地の自衛隊員ですら緊張で汗を流すというのに、猥談と鼻歌交じりに。


「しかしマジ最高だな」


「それな。最初はスマホ使えないからメンブレしそうだったけど、最高っしょ」


 最初こそ世界は変わり魔物に怯えはしたものの、クソみたいな人生よりはマシだと開きなおる。

 開きなおったギャルは強い。

 住民の避難した街で好き勝手に生きている。

 

「はぁしかしイケメン不足ぱねぇ」


「中央死んでたのは終わってたね。 あそこ可愛い子多かったっしょ」


「いや男はやっぱ顔とチンコよ? ゴブリンの貧相なモン見せつけられてマジテンサゲ」


 どっかにハリウッドスター並みのイケメンチンコいねぇかなぁと漏らすJKビッチ。


「いないっしょ(笑)」


 彼女たちが運命の出会いを果たすのは遠くない……かもしれない。




◇◆◇



 藤崎市を超え山奥へバスで一時間ほど進むと、大きな湖が見えてくる。

 辺りを緑に囲まれた綺麗な湖だ。

 アクセスも良くワカサギ釣りなどが人気の湖である。

 そこからさらに山奥へと向かう。

 道幅は狭まり落石も多くなってくる。


『鬼鳴村』


 と、描かれた看板の方へと曲がれば、まるで鬼の塒に進むかのような錯覚に陥る。

 狭い道路の端には首無し地蔵が並んでいる。

 川に沿って続く道を行けば神社や公園などは見えた。

 

「ふっ!」


 鳥型の魔物と一人の男性が戦っていた。

 筋骨隆々の半裸の男性は素手である。

 顔は黒い頭巾で覆い額中てをしている。

 手甲はつけているようだが武器などは持たず、危険な魔物と対峙していた。


「グココココ!」


 緑色の体毛をしたダチョウ。

 胸元はカラフルであり小さな顔に猛禽類のような目が光る。

 長い首を縮め、一気に開放する。

 まるでフェンシングの突きのように鋭い嘴を男性に繰り出す。


「グココッ!?」


 鋭い嘴は空を切る。

 まるで霞のように男は消えた。


「残像だ」


 バードは伸びきった首が戻せない。

 何かに絡めとられたように羽を広げることもできない。

 男が優しく手を下に振れば、バードの首は胴体とお別れをする。


「マスター!」


「うむ? どうした、クレハ」


「新手デス! 大軍デェス! ピンチデェエエエス!」


 ピンク色の衣装を着た少女がぴょんぴょん跳ねながら大慌てで飛んできた。

 胸開きの和服……いや、忍者服。

 なんだか本物とは違い海外の「NINJYA」文化の影響が強いように思われる。

 とりあえずおっぱいはデカイ。

 発音も少し怪しい日本語だ。


「ふっ、まかせておけ!」


 サムズアップした半裸の男性は木に向かい手をかざす。

 すると一瞬で木へ向かい飛んでいく。

 助走もなくいきなりだ。

 まるでスパ〇ダーマンのように。


「WOW!」


 残された少女は目を輝かせながらマスターの行方を追っていく。


 『鬼鳴村』、そこはかつて修験者たちが厳しい修行を行った場所であり。

 一人の忍者フリークが退役後の余生を過ごす場所として選んだ場所であった……。





――――――――――――――――


限定近況ノートも含めると今日は3話更新デェス!


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