百三十一話:ワールドアナウンス

>>>【ワールドアナウンス】

>>>人類による魔王討伐を確認しました。 【神々の祝福】を発動します……。

>>>……ジョブシステムを開放しました。


「っ……」


 脳内に無機質な声色のアナウンスが流れた。

 地面に仰向けに寝転がる。

 体中が痛い。

 肩から腹にバトルスーツは破れ出血している。

 カウンターの棘は壁のように迫っていた。 無理やりに飛び込んで致命傷だけは避けられた。

 しかし最後に無理した反動で体の節々が痛い。

 明日は筋肉痛間違いなしだ。


「うん?」


 振り返ればダアゴンの死体。

 消え始めているようで安心した。

 崩れ去ろうとしている体からきらきらと無数の粒子が俺の体に纏わりついていくる。

 危険なものではなさそう。

 嫌な感じはしないが……。


 呪いとかじゃないよね?


+++++++++++++++++++++++++++++++

 メニュー

 鬼頭 神駆

★魂魄

 魂魄ランク:ヒーロー

 保有魂魄:25258ポイント 【魔王核】 1個

 ジョブ:【】

★スキル

 スキル購入

 スキル:【自然治癒力強化Lv.3】【槍術Lv.1】【身体強化Lv.3】【忍術Lv.1】【脚力強化Lv.2】【剣術Lv.3】【盾術Lv.2】

 固有スキル:【ガチャLv.4】 【千棘万化インフィニティヴィエティ

★魔法

 魔法購入

 魔法:【】

 限定魔法:【ベルセルク】

★マップ

『解放地域』

★称号 

【*****の発見者】【ママーミーの天敵】【ワイルドドッグの天敵】【ジャイアントキリング】【レコードホルダー】【魔王討伐者】【魔王単独討伐者】【人類の救世主】 【解放者】 【超越者の資格】

++++++++++++++++++++++++++++++




 なんかいっぱい増えてる!?

 魂魄ポイントがいっぱい!

 2万ポイントくらい増えてる気がする。

 ワールドアナウンスで言っていたジョブの項目も追加されてる。【】になっているからまだ習得はしていないようだけど。

 どうやって手にいれるんだろう?

 ゲームなら神殿か……神社でも手に入りますかね?


「ふむ」


 スキルもいくつかレベルが上がっている。 

 固有スキルに【千棘万化インフィニティヴィエティ】が増えてるけど。

 俺に棘なんてないんだが?


「おお」


 ガチャのレベルが4に!

 スキルガチャの解放は5だったな。 でもスキルレベルが上がるとステータスも伸びている気がする。

 数値化されているわけじゃないけどあくまで体感で。 

 運のステータスとか上がらないかな?

 

「増えたな」


 称号が一気に5個も増えた。

 レコードホルダーの件もあるしこれは期待が持てる。

 

 後は……。


「【魔王核】」


 保有魂魄に【魔王核】とかあるんだが?

 不穏すぎる。

 ベルセルクの浸食の件もあるし気をつけないとな。


「ふぅ……」


 しかし魔王を倒したのか。

 あまり実感がわかない。

 確かにダアゴンの発していた圧力は強大だったし、凄い破壊力のスキルも持っていた。

 一歩間違えれば死んでいたのが何回かあったな。 

 特に最後。


 ただなんというか……。

 通常狩りしてたら散歩中の魔王に遭遇しましたって感じで実感がない。

 魔王といえばやはり魔王城やダンジョンの奥にいて、こちらから討伐に向かう感じじゃない?

 ステータス的にもかなりデバフが掛かっていたようだし。

 ラッキーなのかアンラッキーなのかわからない。


「……」


 ダアゴンの死体は完全に消えていった。

 後には何も残っていなかった。

 寂しい。

 中継拠点とか本拠地とかどうなるんだろう……。

 魔王討伐したら宝箱タイムは必要じゃないか?


「ぬぅ……」


 初めての魔王討伐は謎だらけのまま終わるのだった。

 

◇◆◇




 どうしようもない不安に押しつぶされそうで、私は葵ちゃんを抱きかかえてずっとお祈りをしていた。

 心音は重なり神社は厳かな雰囲気をだしていた。

 ただひたすらに祈る。

 彼の無事を。


「……」


 女神様の幻想を見た。

 とても綺麗で優しい笑みの女神様。

 どこか悪戯気な表情で包み込んでくれる。



>>>【ワールドアナウンス】

>>>人類による魔王討伐を確認しました。 【神々の祝福】を発動します……。

>>>……ジョブシステムを開放しました。



「わ!?」


「んん!?」


 どれだけの時間祈っていただろう。

 急に無機質な声が頭の中で響いた。

 

「今のって!?」


「うんっ」


 誰かが魔王を倒した。


「鬼頭君!」「シン!」


 わっ、と葵ちゃんの手を握ってシェイクする。

 どういうことなのか全然わからないけれど、なんだか嬉しくて。

 

「シン……無事かな?」


「大丈夫だとおもうよ!」


 うん。

 なんとなくだけど、大丈夫な気がするんだ。

 

「帰ってきたらお腹空いていると思うの! いっぱいご飯用意してあげよう♪」


「いや、それは……」


 はやく彼の顔を見たい。

 鬼頭君、早く帰ってきてくれないかな?


「ふふふ」


 私は胸の高鳴りを誤魔化すようにご飯の準備を忙しくするのだった。



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