百三十二話:白い悪魔(物理)☆
『
さすがに全員は一度に荷台に乗せられなかったので、2往復した。
彼らは疲労もあるのだろうが、栄養不足で衰弱している。
ぜひママノエ丼で栄養をつけてほしいね。
「あっ」
『千棘のマーマンロード』を倒してしまったんだが、魚頭はもう出ないのだろうか?
今帰ってくる間は一匹も見かけなかったのだが……。
もう出現しないのかな?
【猫の手】の商品ラインナップの追加はどうなるのだろう。
襲撃がなくなるのはいいことなんだけど、海産物が増えたら嬉しかったのに。
ママノエを海産物と呼んでいいかはわからないけれど。
「鬼頭君ーー!」
学校では人が集まっていた。
どうやらワールドアナウンスは全員が聞こえたようで、事情聴取というか、決定事項のように倒したと思われていた。
「魔王倒すなんて無茶できるの、おまえくらいだろう?」
どこか呆れたように反町さんに言われてしまった。
事実そうなので何も言い返せないのだが。
「助けてくれて、ありがとうございました」
魔王のプレッシャーで発狂しそうだった人たちも落ち着いたようだ。
泣きながら感謝していた。
でも土下座はやめてほしい。
「さすが覇王だ」
「魔王を倒すとかやばすぎん?」
「すげぇえええええ!!」
なんだか盛り上がってきたな。
俺は『ブラックホーンシャドウ』の収納部分から物資を取り出す。
「「「おおおおおお!!」」」
まるでマジックショーのように物資が出てくる。
明らかに収納部分よりも多い量だ。
なんなら入り口よりも大きな物が出てくる。
「毛布にマットも!」
「おむつ! ありがたや」
「うおお! 米だぁああ!!」
中央公園の防災倉庫のカギの場所は避難させた人たちが知っていた。
中には手つかずの中身がいっぱい。
住宅街にある防災倉庫だからだろうか、思っていた以上に物資は豊富だった。
魚頭が建物に侵入して荒らすタイプではなかったからだろう。
ゴブリンだったら無理矢理侵入していそうだ。
「うわぁ! 助かる鬼頭君っ! ありがとうっ!!」
人も結構増えてきたからな。 足りない物も増えてきたんだろう。
足と入れ物を同時に手に入れたから、本格的に物資回収に入ってもいいかもしれない。
布教用ママノエ瓶も取り出しておく。
「酒はないのか!?」
「はは、あるぞ!」
「よし! 俺も秘蔵の金のヤツをだすぞ!」
「打ち上げだーー!」
打ち上げパーティーが始まった。
◇◆◇
「はーい、シンク君はダメよ? 未成年でしょ」
俺の琥珀色のヤツが玉木さんに回収された。
まだ一口しか飲んでないのに。
「鬼頭君っ、あ、あーん……」
木実ちゃんの『あーん』キタコレ!
脳が破壊されるほどに甘い(物理)。
なんだこの白い悪魔は。
「えへへ、鬼頭君おにぎり好きだよね? いっぱい作ったよ!」
お☆に☆ぎ☆り☆。
いっぱいOPPAI?
ダメだ。 思考が纏まらない。
脳が焼き切れそうなほどに甘い。
「うまい」
「っ嬉しい!」
木実ちゃんの手作り補正があれば。
俺はなんでも食える。
「鬼頭君の為に作ったから、全部っ食べていいよ!」
ゴクリ……。
ここからが本当の闘いだったのか?
ははは。
いいぜ、やってやるよッ!
「ブフッ!?」
赤いスープが甘い?
なんだコレは!?
具材はワイルドソーセージと卵と葉っぱぽいが……。
ワイルドソーセージのクセの強い味はどこにいった??
辛いのを想定していたのに激甘だった。
「うまい」
「やった、自信作だよっ♪」
美味しくて涙がでそうだ。
「甘っ!?」
「……うぅ」
チャレンジしたミサと葵が涙目だ。
玉木さんは避難してママノエを焼いている。
甲殻類の焼けるいい匂いだ。
『キュィ!キュィ!』
魔王討伐に新たな仲間を加えて東雲東高校の打ち上げは盛り上がっていく。
◇◆◇
いいんだろうか?
「んっ、こっちむいて……いいよ?」
神社の中で二人きり。
しかも巫女服を脱ぎ捨てて下着姿になった木実ちゃん。
えっちぃです。
青いスカートからみえる太もも。 腰の帯がないから横のスリットからパンティがチラ見しちゃってる。
たぶん気づいてない。
「「……」」
おっぱい契約のお時間です。
なんだか木実ちゃんと二人きりは久しぶりな気がするな。
恥じらう顔が可愛い。
胸の前に手をやって頬を赤らめてる。
可愛い。
(およ?)
さっきまでと内装が違う。
神社の中は殺風景だったのに、赤いツヤツヤの布団と屏風、それにテーブルランプも。
寝室のようになったぞ? 時間で変わったのか?
木実ちゃんも驚いている。
外はまだ騒がしかったはずなのに、結界でも張られたように静かだ。
なぜか誰かに視られているような気がしなくもない。
「椅子がないね……」
いつもは俺が椅子に座ってその上に木実ちゃんが座っていたのだが。
「今日はこっち向きでする?」
胡坐をかいた俺の下半身に木実ちゃんが座る。
うん、いつもより近いな。
バッグハグからおっぱいをいただきます。
木実ちゃんから女の子の甘い匂いがする。
手にはずっしりとした重み。
柔らかくどこまでも沈み込みそうだ。
「んっ゛……んっ!」
うん、明鏡止水で下着姿では反応しないように頑張っていたけど。
これは無理だ。
木実ちゃんの息遣いがはっきりとわかり、体温の上昇も伝わってくる。
SPはガンガン補充されていく。
「ん、んん」
木実ちゃんは片方の手で声が漏れないように口を押え、もう片方の手は俺の膝の上だ。
徐々に仰け反ってきて頭が近づいてくる。
彼女の細い腰に、バトルスーツ越しにそそりたつアレが当たる。
「あっ、ん゛ん、んあっ」
気づかれただろうか?
空気を読んだバトルスーツ『ブラックホーンオメガ』はビキビキに薄くなる。
やめてその機能!?
どうなってるの?
もう感触としては直接触れているようなものであった。
彼女の柔らかい肌質と体温が伝わってくる。
「ふぁ……」
愛おしくて。
思わず抱きしめてしまった。
「シンク、くん」
肩に頭を預けた彼女と目が合った……。
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