五十五話

>>>魂魄獲得 3ポイント


「ふ……」


 ポイントが貯まった。

 ゼロが三つ、千ポイントだ。


「ふふふ……」


 ムシャクシャして近場の魚頭を殲滅。

 【ブラックホーンリア】の熟練度も上がり、どんどん動きが効率化されていく。 淡々と、サーチアンドデストロイ。 朝の見回りついでに魚頭を絶滅させてやろうか? と言った勢いだったけど、SP切れだ。 一時間ぐらいは戦ってたかな。

 さてと、戻る前にガチャをしよう。


「やるぜ、――百連ガチャ!!」


 テンション上がってきた!


 願うならば百連ボタンを実装して欲しいところだが、実際にアイテムが出てくることを考えると、一回ずつじゃないと怖いな。

 ポンポンアイテムが飛びそう。


「ふんふんふん♪」


 俺は軽かに指を運びガチャをタップ。

 ポチポチポチ。

 帽子を被った猫がどこか忙しそうにレバーを引く。

 ポンポンポン、とアイテムが出現するが構わずガチャを続ける。

何と言っても百連だからね。 ちんたらしてられません!


「ふんふんふん……」


 ポチポチポチ……。

 白ばっかり。 アイテムの確認は後だ。


「ふんふんふ……んっ!?」


 きた。

 十一連目にしてやっと白以外のカプセル。

 しかしキラキラ輝き何色か分からない。

 帽子を被った猫は鍔を肉球でクイッっと上げニヤリと笑う。

 これは演出? 高レアリティ確定演出かっ!?


「おおおおおおおおッ!?」


 光は弾け光の羽根が舞い散る。

 赤い、目を覆いたくなるほどのエフェクトに俺の体は包み込まれる。

やがて目の前に一つのアイテムとなって収束する。

 赤玉。 SRランクのアイテムだ。


「!」


 これはっ!?

 武器……か?

 いや、正式な用途は違うな。

  

「チェーンソー……」

 

 いやまて、ただの漆黒のグレートソードかもしれない。

先っちょ丸くて、トゲトゲチェーンみたいなの横についてるけど。

 高速回転しなければそれはただの装飾品でしかない。

ちょっとチェーンソーみたいな漆黒のグレートソードでしかないのだ。


「ふむ?」


 持ち手の部分は少し大きく、チェーンソーでいうところの動力部分みたいな形になっている。 不思議なコア。 赤紫色の、ブラックホーンリアの黒い宝玉のような物がついている。


 明らかになにかギミックが仕込まれていそうである。


 さてしかしどうやって起動するのか?

 引っ張る紐のような物は流石についていない。

 

「……」


 魔力か?

 ついに俺の魔力を解放するときがきたのか?

 と思ったけど、試しに振ってみると起動した。


『リィイイイイイイイイイ!』


 うるせ……。

 激しく回転を始めたトゲトゲの部分。

 それにエンジン音とはまた違った甲高い音が、耳に直撃する。

 犬耳が破壊されそうだ。

 防御不可の聴覚破壊能力か?

 

「……」


 とりあえずバッグにしまおう。

そう思ったのだけど、バッグにはしまえず光の粒子になって体に取り込まれていく。 具現化出来ていないってことかな。

 

「まだまだ……!」


 赤玉は出たが狙うのは銀色より上。

 俺はガチャを再開する。

 残り八十九回。


「ふふふっ」


 白が続く。

 しかし構わずに、ガチャを引き続ける。

 もはや無心の境地。


「きたっ!」


 白、緑、青とカプセルが出現し期待は高まる。

 そしてレア確定演出がやってきた。

 帽子の鍔を上げ、猫はニヤリと笑う。


「くはっ! 赤っ!!」


 嬉しいよ? 嬉しいんよ!?

 でもまだ上があるんじゃないのかな、ガチャさんよっ。

 

「ん?」


 赤玉の過剰エフェクトは収束し、目の前に一つの瓶が現れた。

 ポーション瓶に似ている。

 中身は無色の液体。 詳細不明。

 ポーションなのかどうかすらわからない。 

 せっかくの赤玉なのにもったいねぇ……。


「……放置」 


 万屋案件だな。

 気を取り直して、残りのガチャを回すぞ!

 

 銀こい、銀っ!

もしくはその上だ!!


 俺は欲望の炎を瞳に宿し、魂魄ポイントが尽きるまでガチャを回し続ける。 


 

◇◆◇



「はぁぁ……」


 俺は肩を落とし歩いていた。

 ガチャ百回。

その結果は微妙だった。


白:66

緑:25

青:8

赤:3


 銀は無し。

もちろんそれ以上のレアも出なかった。


 ガチャなんてこんなもんさ。

 いや、赤でも十分に強いし青の犬耳もすこぶる役に立っている。

しかし、白のアイテムが酷い。 スペルカードはありがたいけど。


「はぁ……」


 色とりどりのパンティー。

 ランジェリーショップでも開こうかな?


(また貯めて、百連リベンジ……)


 なぜか散々な結果の時ほど、次を引きたくなる。

 ガチャとは恐ろしい物だ……。



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