VRの世界における、恋愛のようなそれ未満の何かのような、ちょっと複雑な人間関係の物語。
平たく言えば「お砂糖」と呼ばれるもののお話……と、そう言い切ってしまうとそれはそれで少し語弊があるのですけれど、でもその辺の題材が深く関わる作品です。
主軸は中盤以降、主人公が自己の性別や身体性に抱えた悩みにこそあって、それが仮想現実におけるアバターの特性につながっている……というお話で、つまり単に恋愛の話というわけではありません。
文章の感覚が独特というか、主人公の頭の中そのまんまみたいなところが印象的。
いろいろと専門用語的なジャーゴンや、あるいは固有名詞なんかもあったりするんですけど、その辺ぜんぜん説明のないままどんどん進んでいく、その感覚がとても独特です。
なんとも個性的というか、一風変わった雰囲気が魅力の物語でした。