第9回 「天気と報酬」
あるところに、先進国である東の国と、発展途上国である西の国があった。
ある時、西の国で日照りが起こった。
米は枯れ、水は干からびた。
そんな時。西の国で一番東の村に、全身真っ白な女が来た。
彼女は、地面に、「女が来る」と書いて帰っていった。
そして2日後、本当に女が来た。
一人の老人が話しかけた。
「誰だねお前さんは。米一粒どころか水一滴もないよ。
しかし、女は凛として答えた。
「いえ。雨を降らせに来たのです。」
村人は、最初は半信半疑だったが、どうせすべてを失うのだからということで、
頼んでみることにした。
女は、報酬として、鉄を頼んだ。
そして、1時間も経つと、女は報酬とともに消えていた。
村人は、呆れ交じりにため息をついた。
しかし、そのすぐあと、雨が降ってきたのだ。
* * *
女は、東の国にいた。なぜなら彼女は東の国の気象予報士だから。
先進国である東の国は、鉄が不足しているため、
それを売って莫大な富を築いていたのだ。
しかしだ。西の国の村では、村人は不思議な顔をしていた。
なぜあの女は鉄くずなんか欲しがったのだろうと。
なぜなら、西の国では、鉄の鉱山が嫌というほどあるのである・・・。
短編ショートショート サファイア @sapphire_sena
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