三、作戦の結果は……?

 再び人里に降りたおこんは、この間の店へと向かった。そして店へつくと、店主にばれないように女の絵へ化けた。


(ふふん!これで準備は整ったわ!!)


 お紺は上機嫌だった。そして、お紺の変化へんげは完璧だった。店先に並んだ絵は、他の絵とまったく区別ができないくらいそっくりになっている。

 お紺は自信満々でいた。これで男を騙せると確信していたからだ。


(さあ、いよいよだね……)


 お紺は緊張しながら、店の前に立った。すると、一人の若い男が店に入っていった。


(来た……!)


 男は店内を見渡した。


(どうだい?こっちも見てくれるといいのだけど……)


 男はじっくりと見て回っている。お紺はドキドキしながら待っていた。

 しばらくして、男は人物画のところで足を止めた。そこには、お紺が化けた絵もある。


「おや、これは……」


 男はお紺のほうを見た。お紺はドキッとした。


「ああ、それは最近入ってきたものです。どうです?なかなかのものでしょう?」


「ええ、そうですね」


 男はお紺の絵を眺め始めた。


(うう……なんか恥ずかしいね……)


 お紺は、じっと見つめられることに少し照れを感じていた。だが、ここで照れてはだめだと自分に言い聞かせ、なんとか耐えることができた。


「この女性の表情、すごく素敵だと思います」


「そうですか。それは良かった」


「はい」


 男はお紺の顔を見ながら言った。


(よし、まずはこの調子だよ……。後は買ってもらえるか……)


 お紺はさらに期待が高まる。


「あの……この絵、売ってもらえませんか?」


「おお、そう言ってくれると思っていましたよ」


「本当ですか?ありがとうございます!!」


 男は嬉しそうな顔をした。そしてふところから財布を取り出し、お金を支払った。

 お紺が化けた絵を店主から受け取ると、男は鼻歌を歌いながら家へと帰っていった。


「あぁ、良い買い物ができてよかったよ」


 男はホクホク顔でいる。


(よっしゃー!作戦成功だよ!!)


 お紺は心の中でガッツポーズした。そして、すぐに変化を解こうとしたが、もう少しこの状況を楽しむことにした。


(ふふふ……この男が家に着いたら、変化を解くことにしようかね)


 絵のお紺は男にかかえられながらそう思い、心の中でほくそ笑んだ。

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