15. 康太、真の戦いのスタート!
「うーん、むにゃむにゃ」
「大丈夫か
「ぐすっ……」
時間は深夜の十二時。
早く寝すぎて、中途半端な時間に起きてしまった。
「ぐすっ……、うぅ……」
「大丈夫? 俺が誰だか分かる?」
「私の前世の旦那……」
「良かった、大丈夫か?」
「うん」
「あなた、
「うん、俺も大体は
俺のほうが先に目が覚めてしまったので、
――
話が大体見えてきた。
同時期に
なんとも言えない距離感のまま、三人は高校受験へ。
受験が終わった後に、大きな水害があったらしい。
いつも川辺にいた
二人は洪水に巻き込まれてしまう。
――それが断片的に思い出した過去の記憶だった。
誰かに、意識不明のまま自衛隊の人に救助してもらったったんだよと教えてもらった記憶がある。
「二人ともそんなに
「……みたいだな」
おかげで俺はどこにも行くことができず、布団の上であぐらをかくくらいしかできなかった。
「俺たちは二人に感謝しないといけないな」
「うん」
「俺たち以外にもお前のことを気にかけてくれる人はいっぱいいたんだぞ」
起きる気配のない
「多分、
このことは絶対に
多分、二人も
「俺、もう寝ても大丈夫だと思うけど、そっちはどう?」
「私も大丈夫だと思う。だって、
「全部言わなくても大丈夫だよ。そんなつらそうな顔しないで」
多分、
……俺って勝手だよなぁ。
「――俺、みんながやりたかったことを全部叶えてあげたい!」
強く……強く、そのことを思った。
オフクロが前に言っていた「現代に転生した理由」を本当の意味で考える時がきたのかもしれない!
「
「ついでに言うと今の家族も大切にしたい! 前世の家族も大切にしたい! なんなら今のお前の家族も!」
「強欲! これは大変だ~」
ふと、
「私も一緒にいていい?」
「当たり前だろ。
俺も
「
「欲深マンってなんやねん……」
「美女二人をはべらかすなんて。あっ、
「その一言だけでツッコミたいところがいっぱいあるんだけど」
密着した
「多分、
「どういうこと?」
「鈍感」
※※※
「
それから少しすると、
「おはよう
「ご、ごごごごめん! 二人とくっついてたら安心して寝ちゃって!」
「謝らなくても大丈夫だって」
「ふ、二人とも大丈夫!? なんともない!?」
相変わらず距離が近い……。
「はーい! ストップ!」
「
その手を、
「あんまりべたべたしない!」
「ちゃ、ちゃんと二人とも覚えてる?」
「覚えてるに決まってるでしょ! 私があなたの母親よ」
「ゆ、
「俺たちが
チュッ
話している最中に唇が柔らかいもので塞がれた。
「思い出した!? 今日、私たちはキスしたんだよ!?」
「あんたって子はーーー!?」
「えぇえええ、折角思い出させてあげようと!」
「忘れてないって言ってるでしょ! あんたはただ単にチューしたかっただけでしょうが!」
「ち、違うって! それもあるけど本当に違うって!」
「それもあるって白状した!」
同級生の娘と嫁が布団の上でじゃれ合っている。
まるで、修学旅行の夜にみんなで遊んでいるみたいだ!
うんうん! みんな楽しそうでなにより!
「
「なんですってーー!」
(……)
……ほ、本当に仲が良いかこれ?
居間からはオフクロの大きな笑い声が聞こえてきた。
襖のすき間からは、今日はずっと付けっぱなしにしていたのであろう居間の明かりが漏れていた。
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