後日談② みーちゃんライブ
とある冬の日。
俺たちは大規模コンサート会場にやってきていた。
会場の入り口には長蛇の列!
雪がちらつくようなとても寒い日だったが、そんなの関係なしに熱気むんむんの二人が隣にいる。
「
「えぇええ! 私が並んだときは売り切れてたのに羨ましぃいい!」
「えへへへ、一緒に使おうよ!」
「こ、琴ちゃん!」
そう! 今日は三人で約束していたみーちゃんライブの日なのだ!
「どれどれ!? どのTシャツ買ったの!?」
「これこれ!」
「可愛いでしょ?」
「あっ、これ一番いらないなって思ったやつだ」
「台無しだよ!!」
あまりにも忖度なしに答えるので、思わず二人の会話に割って入ってしまった。
つい
「いったー!」
「お前ってやつは……」
「
「大体なによ! 一人だけクールに振舞ってて! みーちゃんに申し訳ないとは思わないの!」
「寒いんだよ!
「これ見よがしに琴乃のマフラーを自慢してーー!」
「してねーよ」
大体、マフラーを自慢するというのなら今の二人の方が羨ましい!
なんと! 一本のマフラーを二人で仲良く巻いているのだ!
さ、三人で来たのに、それをやられると俺としての立場は……。
今の二人の間に混ざれるとも思ってないけどさ!
「うぅ~、もうこのまま帰りたくない。ずっとこの時間が止まってほしい」
「列に並んだままで時間を止めるな。殺す気か」
「列に並んでいる最中もライブ中なんですー。それが分からない素人はこれだから」
「よく分かんないから素人のままでいいや」
「少しはのってきてよ~~!!」
今日の
念願のみーちゃんライブにきて頭がおかしくなっているのだ!
……まぁ、それも当然かもしれない。
こいつにとっては、ようやく叶った夢の時間なのだから。
「ほら!
「おぉーーー!
「そんなのみーちゃんファンとしては当然でしょう」
二人の楽しそうなやり取りにほっこりする。
(寒い寒い言ってないで、俺も二人を見習わないとな……!)
「
「あなたのはないわよ」
「なんでや!」
※※※
「うぅ……ぐすっ。良かった、マジで良かった」
「良かったね!
「うん。みーちゃんマジで尊い……もう一生ついてく」
ライブが終わり、三人で帰路つく。
興奮冷めやらぬ二人がずっとこの調子で話をしている。
ライブが終わった直後、
最後には二人で抱き合って、思う存分にコンサートを楽しんでいた。
「一生どころか二生ついていってるけどな」
「その私たちにしか分からないジョークやめてくれる!」
もちろん、俺もコンサート自体にはとても感動していたのだが、もっと別の所で胸がいっぱいになってしまっていた。
「来年! 来年も来ようね!」
「絶対行く!」
二人がそんな約束をする。
「私の誕生日のとき、毎年三人でお出かけしようって言ってたもんね!」
「も~、そんなこと言ったら毎年みーちゃんで決まりじゃんか!」
「私、温泉とかも行きたいんだけど!」
「じゃあ一回じゃ足りないじゃん!」
(良かったなぁ……)
昔、
でもその夢は今日で終わることなく、また新しい夢になって続いていくようだ。
「なによ、今更泣いてるの」
「いや、みーちゃんのライブ思い出したら泣けてきちゃって」
「ふんっ、ようやくみーちゃんの真の良さが分かったらしいわね!」
そう言えば、
そう考えると、俺はみーちゃんにもっと感謝しないといけないな。
「来年も来ような」
「うん! またチケット取り頑張るから!」
前世でも現代でも、同じ人が俺たちに力を与えてくれる。
叶うならみんな健康で……これがずっと続けばいいなぁと思った。
「よーーーし! またチケット取るの頑張るぞーーー!」
「更新連打はちょっとどうなのかなぁ……」
「え゛っ!?」
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