11. そしてお泊りへ
それからしばらくすると金髪の女の子がこちらに駆け寄ってきた。
「に、兄さん、これはなんでしょうか?」
「あっ、
「もしかして見てた?」
「何をですか?」
「見てないならいいけど……」
良かった……。
娘とのキスシーンを義妹に見られることだけは回避できたようだ。
「
「
「
「はい、友達ですから」
金髪の女子が、きょとんとした顔で俺の質問に答える。
裏も表もなく、年相応の少女の幼い顔だった。
そっか……。
この子は損得関係なしに、
そのことが嬉しくて、じんわりと心が暖かくなる。
「
「はい、私にできることなら何でも。そんな風に兄さんに言ってもらえるの嬉しいです!」
「じゃあ早速なんだけど」
「はい!」
「とりあえずあの二人を何とかしてくれ!!」
「えっ?」
「
「うるさいわねーー!」
まだ二人がやり合っていた。
「あ、あれをですか!?」
「俺じゃ無理だ! 頼む!」
「ぜ、善処しますが……」
※※※
四人で川辺の草むらに腰を下ろす。
「
「
サンドウィッチの具になった
「ほら、二人とも。今は
「私も喧嘩はやめてほしいです……」
「あーあ!
「寝たら死ぬぞ」
「今は笑えないんだけど!」
俺たち夫婦はこの事態をどこか悲観的に捉えてしまっていたけど、
「
「提案ってなーに?」
く、くそぅ……! 娘に見つめられただけで少しドキッとしてしまった。
「俺と
思いつきであったが、いい考えだと思った。
家族三人が一緒なら、寝てもきっと大丈夫だと思う。
きっと俺も美鈴もそのままでいられるんじゃないかなぁと思う。
「なるほど~! けど私、妹がいるからなぁ。親が許してくれるかなぁ」
「聞いてみてよ」
そっか、その心配もあるんだった。
「
「……」
俺の言葉に
「三人がただならぬ関係だというのはなんとなく分かってますが……」
「ごめん、
「ちゃんと兄さんはうちに帰ってきますよね?」
「え?」
今の俺って、今の家族にそんなことを言ってもらえるんだ……。
「うん、必ず」
「約束ですからね」
「
「なんでしょうか?」
「そのうち、君にも、君のお父さんにも必ずちゃんと言うから」
「?」
――家族に隠し事はしたくない。
※※※
「
「はい、じゃあ私は
金髪の義妹がその場を去った。
色々、聞きたいことがあっただろうにそのことは聞かずに行ってくれた。
きっとそれが彼女の優しさなのだろう。
俺も色々落ち着いたら、彼女に何かしてあげたいな。
「あっ! うち大丈夫だってさ!」
「おっ、良かったじゃん」
「なんか親が泣いてた。
「ハハッ、いつもやりたい放題なのに何をおっしゃっ――、って痛い!」
「
「チューしてスッキリとか言うな!」
「ずっと私がしたかったのに!」
「自分で言ってて恥ずかしくならないの?」
「ならない」
「うちは当然オッケーだったよ! おばあちゃんも喜んでた」
「えへへへ、今日は三人で寝ようね! 二人がつらそうな顔してたらすぐに起こしてあげるから」
これで三人でいることができるし、事情が分かっているオフクロなら色々協力してくれるだろう。
(それにしても……)
さっきの
転生してすぐに俺たちは、
頭の悪いオフクロでさえ、俺のことにはなんとなく気づいていた。
――だとしたら?
俺はあることをオフクロに聞きたくなっていた。
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