8. 父、娘の友達とデートをする 前編
今日は学校をサボって心春とデートの待ち合わせをしていた。
……のだが、待ち合わせの時間になっても
眠い。
おかげでなんとか一睡もすることなく夜中を過ごすことができた。
「やっほー! 待った?」
「待った! 遅刻だぞ」
「普通デートのときは待ってないって言うのがお約束じゃない!?」
「待ったもんは待ったし」
目の下にクマができた
「だって、準備に時間かかっちゃってさ」
「準備?」
「見て見て」
今日の
髪は後ろに短く結んでいて、黒いパーカーに白いひらひらのスカートを履いていた。
「どう?」
「学校さぼって親は大丈夫だった?」
「あっ、あからさまに誤魔化した!」
心の中では可愛いと思っていても、本人を前にそんな恥ずかしい台詞を言えるか!
「……」
いや……。
今のうちにそういうことはちゃんと言った方がいいかな。
「に、似合って――」
「それで、あれはどうしたの?」
「ん?」
そこにはサングラスをかけた女子二人がうろちょろしている。
どう見ても
「
「あ、あいつらまで学校サボったのか!」
ま、まさか二人とも学校をサボるなんて!
誰だ! この子の親は!?
ちゃんと子供のことを見てないから――。
「あははは~自分のこと棚に上げてる~。二重の意味で棚に上げてる~」
「その時々、発動する心を読むスキルは一体なんなの?」
普通に前世の嫁が、俺の心の中と会話をしてきた。
それにしても良かった。
「また同じようなこと考えてるでしょ。しつこいお父さんは嫌われちゃうよ」
「うるさいなぁ! 徹夜明けでテンションおかしくなってるんだって!」
自分の目をごしごしと拭う。
「
「よーし! じゃあその
※※※
隣町の映画館に行くために電車に乗り込んだ。
二人で並んで近くの席に腰を下ろす。
「ここの駅が一番変わったよね」
「あぁ、最初に見たときはびっくりした」
ガタンゴトン
電車の釣られて、俺たちの体も一緒に揺れる。
平日なので席はガラガラだ。
「前に
「
「うん、ギャラクシーメガファイトを見に行くために」
ここ最近、電車に乗ったのは
「あいつ、スカートが短くてなぁ」
「年頃の女の子なんだから当然じゃん」
「あんなの俺は認めない! しかも痴漢されても助けを呼ぶこともできなくてさ!」
「あなたが近くにいたのに? それでどうしたの?」
「痴漢してたやつ駅員に突き出して、
「怖~」
「だって、
「あはははは! ちゃんとお父さんしてたんじゃん」
じーーーー
こ、
同じ車両にいるスパイ二人が俺たちに熱い視線を向けていた!
「あ、あいつら、あれでバレてないと思ってるのか」
「ポンコツだねぇ」
「お前にだけは言われたくないと思う!」
「そういや、みーちゃんコンサートの話ってどうなったんだっけ?」
「冬だよ冬! ちゃんとチケットの予約してあるんだから!」
「そっか、みんなで行けるといいな」
俺は心の底からそう思った。
※※※
「なっつかしー!」
隣町の駅に到着した。
最寄り駅と違い、隣町の駅は前世の俺たちの記憶そのままだった。
「
「ダメだって言ってもやるくせに」
「さすが分かってるじゃん!」
「あ゛ぁあーーーーー!!」
「こ、
寒気を感じるほどの殺気を感じる……!
「ふふふふ、敵に塩を送るからそうなるのよ」
「お前、絶対に楽しんでるだろ」
「もちろん!」
後ろの殺気の主がものすごく気になるが、今日はせっかくだから俺も楽しもう。
「行こうか
「うん!」
いつの間にか俺たちはお互いを前世の名前で呼んでいた。
こうしていると本当に昔に戻ったみたいだな。
「高校生のデートといえば映画だよねぇ~」
「
「えぇええ! なんで!? 折角、見たい映画を調べてきたのに!」
「だってお前絶対に寝るじゃん」
「う゛っ!!!」
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