30. 本当の再会 後編
「好 き !!」
「えっと……じゃなくて……! 言いたいことはそうじゃなくて……。好き! じゃなくて
こ、
「違うの! 本当は言いたいことが沢山あるの! けど好き! じゃなくて――」
「
今日は様々な事態を想定してこの場に臨んだが、この展開は完全に予想外だ!
「あーー! もうよく分からないけど大好き!!」
お、俺の少なくない人生経験をもってもこの場をどうしていいのか分からない!
「……」
「……」
一瞬、沈黙が流れる。
「ぷっ……!」
その沈黙に耐え切れなくなって、笑い始めたやつがいた。
「あははははは! そうだよね、
「ふふっ、どんな感動の再会が待っているのかと思えば、あんたたちは」
オフクロも一緒に笑い始めた!
「「あははははははっ!!」」
「
「君たちらしくていいんじゃないか?」
「いいの!? ここお墓の前なんだけど」
「君の亡くなったお父さんもきっと笑っているさ」
お、おかしいなぁ。
もっとしんみりすると思っていたのに。
「あははははは………うっ、うぅ……」
「うわぁあああああん!
その笑い声はそのまま泣き声に変わってしまった。
「本当はね! 本当はずっと
「そ、そんなことないのに! 私はもっと早く会いたかったよ!」
「こんなに! こんなに大きくなって! 本当に大きくなって!」
「……うぅ」
そのまま二人は肩を抱えて、わんわんと泣き崩れてしまった。
絶対に……。
絶対に信じてもらえるまで時間がかかると思っていたのに、あまりにも簡単に二人が“本当の再会”を果たしてしまった。
「良かったな、
「だから
「そうか」
「これで良かったんでしょうか?」
「別にいいだろ。君たちは親子なんだから、どれが正解ってことはないだろう」
「……そうかもしれませんね」
子供のときからの付き合いだが、初めて
「
「そんなことないさ、君たちには泣かされてばっかりだ」
ただ、
「そういう君だって人のこと言えないぞ」
「これは……二人が再会できたことのただの嬉し泣きですから」
「今度は自分のことを第一に考えるんだぞ。正体を明かしたということは、あの二人の幸せは君なしにはあり得なくなったんだから」
キツイ口調だったが、それが俺を気遣ってというのが痛いほど分かった。
「分かってます。けど――」
「けど?」
「自分を第一にって言うのだけは約束できないです。俺が一番大切なのは今も昔も自分の家族ですから」
この日、俺たち家族はようやく本当の意味での再会を果たすことができた。
それと同時に“同級生家族”が誕生したのであった!
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