31. 琴乃、壊れる!
「ほら、あんたも見てないで行ってやんな」
二人の様子を見守っていた俺に、オフクロが声をかけてきた。
「分かってる」
俺も泣き崩れている二人の傍に行くことにした。
「今までごめんな
「本当に本当に
「あぁ、俺が
ようやく娘にはっきりとそのことを言うことができた。
四月に
本意ではなかったが、結果として今まで偽ってしまう形になってしまったことは本当に悪いと思っている。
「うえへへへへ」
――と、思っていたのだが
さっきまで泣いていたのに、
「本当に
「だからそうだって」
「じゃあ抱っこして!」
「えっ!?」
「い、今はさすがに……それに
「何よ! 折角、感動の再会をしたのに娘にそんなこともできないの! 鬼! 悪魔! 人でなし! 最低! 鬼畜! アンポンタン!」
「言い過ぎだぞ!!」
ま、まぁ……別に親子としての抱っこなならいいんだけど……。
「ほ、ほら……」
「わーーーい!」
恐る恐る
現在の俺と
抱っこというよりはただのハグみたいな格好になっている!
「えへへへ、お父さんの匂いがする! やっぱり私は正しかったんだ!」
「こ、こら! もう子供じゃないんだから! 俺は
「分かってるよ!
「そうそう!」
「二倍お得じゃん!」
「はぁ!?」
やっぱり分からない!
思春期の娘の考えていることはさっぱり分からない!
「えへへへ、お父さん!
こ、
「大好……うっ……うぅ」
さっきまで口数が多かった
「う、うわぁあああああん! お父さーーーん! ずっと会いたかった! 会いたかったよーー! 寂しかったよぉお!」
「……ごめんな。今まで本当にごめんな
「お父さんもお母さんもどうしていなくなっちゃったの!? 馬鹿馬鹿馬鹿!」
「ごめん、本当にごめんな」
「お父さんも馬鹿! お母さんも馬鹿! 寂しかった! ずっと寂しかったんだから!」
「ごめんね
琴乃はしばらく子供に戻ったように泣きじゃくっていた。
※※※
「ねぇねぇ! 私たちこのまま一緒に暮らせる?」
左手に俺と、右手に
「それは難しいなぁ……。俺も
「そっか、そうだよね……」
俺がそう言うと、
「無理言うんじゃないよ
「むー」
オフクロが俺たちのフォローをするように
「これからはできるだけ毎日会いに来るから」
「本当!?」
「もちろん」
俺がそう言うと
「私はできるだけなんて言わずに毎日行っちゃおーー!」
「本当!?」
う゛っ!
何故か
「
「なに?」
「好き!」
「お、おう」
お、おかしい!
父親だと言ったら少し距離を置かれると思っていたのに!
「あ、あんまりそういうことは他の人に言っちゃダメだぞ」
「
な、何かこの感じ見覚えがあるな……。
そう、これはまるで出会った頃の――。
「ねぇねぇ
はぁああああ!?
父親だと言ったはずなのに
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