33. 唯人君しゅきしゅき! 前編
「兄さん、ずっとスマホとにらめっこしてるけどどうしたんですか?」
「これにはやんごとなき事情があってだな」
「やんごとなきって古語ですよね。難しい言葉知ってるんですね」
「そうなの……?」
義妹から知的な返答をされる! 古藤家ではあり得ない返しだ!
感覚で使ってるからそんなのは詳しくは分かりません!
「実は
「……」
「……」
「……」
「あっ……マジなやつですか?」
――
今の俺は、昨日を無事にやり切ることができたという充実感に満たされていた。
もしかしたら、また家族をやり直せるのではと思うと、どうしても浮ついた気持ちが抑えきれなくなってしまう。
「も、もしかして兄さんと
「なわけないだろーーー!!」
そんな気持ちを諫めるように、
そっか! 同級生同士だとそんな風に見えるのか!
「ただの世間話だから!」
「それにしては兄さん、真剣に携帯を見ていたような……」
そ、そりゃ真剣になるさ!
あれから
俺も今度は、
「なんか兄さんすっきりした顔してますね」
「そう?」
「はい。テスト明けと似たような顔してます」
「あ、あんまり嬉しくない例え……」
自分的には一世一代どころか二世に一代の出来事だったのだが、現役女子高校生から見るとそれくらいの表情に見えるらしい。
あと何年もしたら、昨日のこともその程度のことになるのかな……。
昨日のことなんか些細な出来事になるくらいにもっともっと楽しいことがやってきて――。
そうなるといいなぁと心の底から思った。
ピロン!
『
そんなことを考えていたら怪文書が届いてしまった。
※※※
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