38. 今、一緒に暮らしているのは!
「大変なことが起きました」
お盆も終わり、夏休みも最終日に近づいてきた。
そんな中、今日も
「何かありました
「私の宿題が終わってません」
律儀に
あまりにもしょうもないです、
「
「そういうのは自分でやらなきゃダメなんだよ!」
完全に立場が逆転してしまっている!
「だ、だって……! 遊ぶのが楽しすぎて!」
子供かっ!
前世の妻は、転生して精神年齢まで下がってしまっている!
「私はとっくに終わってるから、
「
「えへへへへ」
「お、おほほほほ、随分仲がよろしいことで」
「ここで宿題終わってないの
「きぃいい! たかが宿題くらいで偉そうにーー!」
ダメだこの母親。
完全に
そもそも夏休みの宿題に苦しむのって中学生までな気がする。
「大体、こんな勉強なんて社会に出たら役に立たないんだから。因数分解? 元素記号? なにそれって感じよ!」
「けど、そういう考え方って今後も大切になるって思うんですよね~」
「なっ!?」
「確かに社会に出たら役に立たない勉強って沢山あると思うんですが、色んな考え方を増やすことができるっていうのは人間性を豊かにするっていう意味ではありなのかなぁって思ってます。嫌いなことを逃げ出さないで一生懸命できるようにするっていうのも学校の教育で大切な役割かもしれませんしね」
「ぐぅううううう!」
この中で、一番ギャルっぽい見た目の子が一番しっかりした考えを持っているだなんて……。
「へへーんだ。いいもん! 二人が写させてくれないなら
「なわけないだろ。いいから早くやれ」
「残念でしたー! 今日は何も持ってきてません!」
「帰って持ってこい」
「冷たい……。ノリが悪い……」
ガクッと
そんなあからさまに落ち込んで知らん!
全部、自分が悪い!
ったく、俺たちは琴乃の見本にならなければならないのに!
「昔はもっと優しかった……」
「ぬっ」
「昔はもっと親身になって話聞いてくれた……」
俺にしか聞こえないくらいの小さな声でぶつくさぶつくさ何か言ってやがる!
「昔は――」
「ああーーー! 付き合ってやるから早く勉強道具持ってこい!」
「やったーー!」
ドタバタとダッシュで
く、くそぅ……。
結局、俺の負けのような気がする!
「むーー」
※※※
「
「ほ、ほんと!?」
「うっうっ……優しい子に育って」
「早くやろ! 終わらなくなっちゃうよ!」
「うん!」
……。
これはあれだな……。
娘の宿題に付き合う母なら分かるのだが、母の宿題に付き合う娘という光景は中々見ることができないな……。珍百景もいいところだ!
「そういえば、皆さんの成績ってどうなんですか?」
「ここにいる全員、
「に、兄さん、お二人には容赦ないですね」
そうだ! 忘れていた!
打倒!
うちの
「
「それはね……。んとね、うーんとね……」
ダメそう。
やめようやめよう。
前世の友人と争うなんて、やっぱりやめよう。
大体、勉強で人の優劣が決まるわけじゃないしーー!
「うーん」
……そんなことを思っていたのだが、当の
「
「うん! これからは何でも一生懸命やるって決めたの!
「い、一緒に暮らすーーー!?」
ぶーーーーっ!!
突然、娘がぶっこんできやがった!
「だよね~。三人で暮らせるようになるまで頑張らないと」
ア、アホが二人もいる!
何も知らない
「ふ、ふーん」
その言葉を聞いた
「ま、まぁ、今、兄さんと一緒に暮らしているのは私ですけどね!」
「「え゛っ!!」」
さすが親子!
二人の声が綺麗にそろった!
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