19. 娘、お父さんにおねだりをする!
長かったゴールデンウィークが明けて、いつもの学校生活がスタートした。
「えー。それでは五月の中旬には中間テストがあるので皆さん気を抜かないように――」
担任のキタハラがホームルームの時間にそんなことを言ってきた。
学生の最大最強の敵、中間・期末テストが間近に迫っていた!
高校生活二周目の俺は当然そんなの余裕……ではない!
高校の勉強って難しいんだよなぁ。
数学なんてさっぱりだ!
学校の勉強は社会に出るとあまり役に立たなくなるのを知っているので、尚更勉強に身が入らない。
だが――。
「
正直やりたくないし、気が進まない。
「分かった。一緒にやろう!」
しかし、
俺がお手本になれるよう、一生懸命頑張らなければ……!
「じーーー」
そんな気合を自分に入れていたら、近くの席から熱い視線を感じる……。
「じーーー」
コハタコハルが なかまに なりたそうにこちらをみている!
「じゃあ行こう
しかし コトノは それをむしした!
余りにも無慈悲。
「こ、
熱視線に負けて、俺は
どこかの民芸品にあんなのあったな。
「むー。何で
「ほ、ほら。
「今回のテストが初めてだよね。誰が頭良いとか分からなくない?」
確かに……。
真偽はとりあえず本人に聞いてみるしかない!
「
「ま、任せて! 昔は成績良かったんだから!」
今の話聞いてんだよ! 今の!
その歳で昔とか言ったら小学校とかの話になるだろ!
「じゃあ俺たちに勉強教えてくれない?」
「いいの!? 任せて!」
「むむむー」
一方、
※※※
三人で学校の図書館に来て、中央の勉強テーブルに腰をおろした。
「
「わ、私の隣に来てくれるの!? ありがとう
な、何故か
あ、あまりにも
女の子大好きっ子に変な火をつけたりしないだろうか心配になってくるなぁ……。
「
「うん! 任せて!」
「じゃあここ教えてほしいんだけど……」
「そこ? そこはね!」
数学の教科書を取り出し、
「ちょっと待ってね。そこはね。うーんとね」
「……」
す、すぐに不穏が空気が流れる!
「すぐにできるからもうちょっと待っててね」
必死に
「もうちょっと! もうちょっとで解けそうだから……!」
カキカキカキカキ
「あと少し! あと少しだから!」
「……」
絶対にあかんやつだ。
なんだったんだこいつのさっきの自信は……。
「なんで
今度は
「ごめん
今度は
「うん! そこはね。うーんとね、ちょっと待っててね!」
「……」
再び流れる不穏な空気……。
「も、もうちょっとで解けそうなんだけどなぁ……」
「……」
俺、知ってる。
これ二人ともダメなやつだわ。
「
「
(「あなた待っててね。今、
(「お母さん下手くそ!
――あれ?
二人の張り合っている姿を見ていたら、ふとそんな昔の光景が脳裏をよぎってしまった。
「もーー! 分かんない!
「ごめん
馬鹿が二人も揃いやがって!!
俺 も 分 か ら な い ん だ よ !!
※※※
「
「な、なによ! いきなり呼び捨てにするわけ」
「もういいじゃん。馬鹿なんだから」
「ぐっ……」
「よくその
「む、昔はもうちょっとできたの! こんなの社会に出たら役に立たないんだから!」
ダサい。ダサすぎる。
小学校のときに百点取ったのを、大人になってからずっと自慢しているようなものだ……。しかもできない人間が言うと、社会に出たらのくだりがものすごい負け惜しみに聞こえてしまう。
「……」
「どうした
「何だか
「ないない」
「むぅ」
「――ほしい」
「えっ?」
「ご褒美がほしい!」
「ご褒美?」
「私が今度のテストで
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