第2話 『ニュース』
地獄放送は、夕方5時から、深夜2時までの放送ということですが、これは、不思議なのです。
聞くところによると、弘子さんの地獄には、時間が流れないのだとか。
いや、時間は流れるが、進まない、というか、そもそも、昼と夜は、太陽や地球の関係でなりたつ、みたいな訳ではないらしいのです。時間は、また、昼も夜も、恣意的に作られているらしいのです。
それは、ある資源惑星のように、人工的に作られているのでしょうか。
いや、人工太陽さえ、地獄には、無いのだとか。
太陽がなくても、時間が流れない。というわけでは、あるとは思えません。
でも、まるで、それでは、究極の宇宙の死後の宇宙、みたいではないですか。
『みなさん、5時のニュースです。』
なのに、ぼくの電波時計の5時ぴったにり、放送は始まりました。
『今日、女王さまが、視察をなさいました。我らが女王さまは、昼休憩にあわせて、双子の妹さまで、わが地獄の理事でもある、ルイーザさまとともに、来獄なさいました。それから、休憩中の、『カレー地獄』、『快楽の園地獄』、『お饅頭地獄』を視察して回られました。』
『へえ。弘子さんも、道子さんも、自分の日程だけでも、秒単位らしいけど、よく、地獄まで見て回るね〰️〰️〰️✨』
他人事であります故に、やましんは、呑気なことを言っております。
しかし、ふと、おもったのですが、この弘子さんと、道子さんは、いつの、ふたりなのだろう。
つまり、現世と地獄の時間は、まったく、関係ないというのですから。
現世の今と、地獄の今は、同時ではないらしいです。
もっとも、そういうのは、大部分、幸子さんから聴かされた話です。
『女王さまと、妹さまは、亡者たちに、『暑すぎませんか。』『辛すぎますか』などと、声をかけながら、励ましておられました。』
『ある、全身骨だけの老女は、『故郷の蕎麦を食べたい』と答えたりしていましたが、女王さまは、すぐに手配するよう命じて、さらに、亡者たちの食べたいものを、逐一、調査するようにも、指導しました。』
『ふうん。カレー地獄って、なんだろう。でっかいお鍋で、野菜やルーを、ぐつぐつと煮ているなかに、放り込むのかな。それから、鬼たちが、食べるのかな。』
『地獄長は、地獄ランドに、新しいアトラクションを導入すると、発表しました。全長二光年に及ぶ、超絶絶叫マシーンです。走るのは、最高速度、時速、0.1光年で走るマシーンとのこと。あちらこちらで、ぶつかったり、墜落したりもするとのことです。』
『二光年? なんだ、そりゃ。』
『やましんさ〰️〰️〰️〰️ん。今晩わ。』
『おわ。びっくりした。』
やはり、幸子さんの登場でありました。
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