022 玩具部屋
そうだ、ナオさん。オレが監禁されていた部屋について、伯父が初めはどんな説明をしていたのか、改めて説明しますね。
タバコ部屋、というのは間違いないみたいでした。父が吸うので、オレも多少は慣れていましたが、長年室内に染み付いたであろう臭いは独特で、どう表現していいのか。ナオさんも確か、喫煙者だと聞いていますので、説明は不要でしょうか。
そして、オレが小さかったときは、玩具の電車やブロックなんかを広げて遊ばせる部屋だった、というのは間違いないようです。そんな、子供時代のいたいけな思い出が詰まっていた部屋に、オレは監禁されていました。
そして、そこは監禁の終わった今も、「玩具部屋」です。
「お前のパパは、高校生の頃、とても良い子だったから、俺に指一本でも触れないよう、とても気を遣っていたんだ。俺だってもちろん、そうしていたしな。だから、お前もそうするんだぞ。パパみたいな良い子になるんだぞ。わかった?」
「わかった」
「お前みたいなエロガキだったら、ここが玩具部屋だってオレが言ってた意味、今はもうわかってるよな?」
「わかってる」
オレは、返事こそしっかりしていましたが、態度はまだまだ反抗的でした。伯父がオレに、何を始めようとしているのか、もう見当はついていましたしね。
やってやろーじゃん。あんな父親、オレはすぐ越えてやるよ。
そういった気概に満ち溢れていたのです。
伯父はまず、オレに目隠しをしました。それから、手足の拘束を解きました。上半身は、服を着たまま。下半身はさっきからさらけ出しています。そうして、伯父の言う通りの体勢を、次々にさせられました。
「顔もだけど、身体も貴斗に似てるよな」
声、そして音だけが聞こえる状況です。目隠しをした意味は、そういうことかと思いました。伯父のセリフが、いやに心を刺します。
「ま、あいつの高校時代の身体は知らねぇけどな。ちゃんと見たのは、過去視が制御できるようになってからだよ。あいつの身体も、こんな感じだったのかなー。触ってみたかったなー」
父の顔が、どうしたって脳裏に浮かびます。悔しかった。オレは父にとっくに負けていた。でも、これから覆してやる。そういう気持ちも芽生え始めました。けれども、伯父の責め苦の方が上回ります。身悶え、情けない声を出し、身体中を震わせました。
「お前さ、本当にこういうことしたかったわけ?」
「違う、こんな物じゃない……」
オレがくわえさせられていたものは何だったのか、目で確かめなくても判りました。散々、口内を犯されつくし、そして、練習させられたのです。
「父さんにも、こんなこと、してたの……」
「いや? だって貴斗、最初から良い子だもん。ここまでやらねぇよ。やってたのは、悪い子に対してだけだぞ? 久しぶりだから、すっげー楽しい」
伯父が言った、「悪い子」。その人が一体だれなのか、もうお分かりですよね。
そのときのオレは、過去にも自分のような被害者がいたのだと知って、この男はこれまでどれだけの罪科を重ねてきたのかと思い、怒りさえ感じていました。
あのー、物凄く、拍子抜けしましたよ。事実を知ったときは。
なんなんですか、ナオさん。自分から頼むって。その気持ちが今でもよく分からないということは、つまり、オレってそういうことだったんですよ。
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