015 確認
さて、ここからなんですが。ナオさんなら、そういった単語とか、ハッキリ言ってくれても私は構わないよ、と言うのだと思うのですが。
いざこうして、パソコンに文章を打ち込んでいると、直接的な単語を使うのが恥ずかしくて、回りくどい表現になってしまうことを、お許しください。
「もっかい言っとくけどよ。昨日の電話、俺は一つも嘘をついていないんだ。お前がどっちなのか確かめたい、って言ったのも嘘じゃない。お前あの時、何考えてた? 正直に言ってみ?」
「……伯父さんは、オレが、その、セックスするときどうするか確認したいってことだと、考えてた」
「っていうかお前、パパの記憶勝手に視たよな? 俺がどっちか判ってたよな?」
「ううん、ちゃんとは判らなかった」
「あー、なるほど。まあ、俺もお前くらいのときは、断片的にしか視えなかったもんな。それじゃあさ、お前が視たパパの記憶って、どんなのだった?」
「その、伯父さんが、父さんにしゃぶらせてるときの記憶だった」
「それだけ?」
「うん」
本当は、伯父が父の頭を優しく撫でながら、愛しているとハッキリ言っているところまで、視えていました。でも、それを口に出すのが何だか悲しくて、ここでは黙っていました。
「よし、じゃあ次の質問。お前、俺に挿れてみたいって、一度でも考えたことあった?」
オレはすぐには答えられませんでした。それが伯父の気に障ったようです。
「おい。あったかなかったか答えるだけだぞ? 早くしろ!」
「あ、あった」
「誰が挿れさせるか、バーカ」
これまでの伯父の態度から、彼が自分に挿入を許さないであろうことは、容易に想像がついていました。なので、本当のことを答えるのが、物凄くこわかったのです。
実際、ナオさんに対しても、最後まで許さなかったんですよね。あなたはどちらもやりたい、というよりやってみたいという方で、伯父にも一回でいいからさせてみてくださいよ、と迫っていたと聞きましたが……。
チャレンジャーだな、とオレは思いますよ? だって、若いときはもっとヤバかったでしょ? あの人。
「ナオはなー、属性多すぎて、ちょっと一言で説明するのが難しいんだよ。だから俺、あいつのことお前に言いたくなかったんだよ、説明がマジでめんどくせーから」
ナオさんの話を初めて聞いたのは、オレが大学に入学してからです。
父と伯父は、高校時代からの友人だということは、既にオレも知っていましたし、当時の後輩たちともまだ交流がある、ということくらいは把握していました。
ただ、ナオさんを含め、後輩さんたちのお名前までは、オレもきちんと聞かされていたわけでは無いです。
なので、伯父はナオさんを、高校の頃からの後輩である、ということから説明しました。
「なんか知らねぇけど、俺に懐いてきて、俺が大学入学して一人暮らしを始めてからは、何かと理由をつけて押しかけてきたな。ざっくり言うと、セフレになるのか。高校のときのメンバーで今も独身なのは、俺とナオだけだし、結局今でも付き合いがあるんだよ。半年に一回くらいは、あいつの店に顔出すようにしてる」
伯父の言い方は、そんな感じでした。ナオさんは、飲食店を経営されていると伺っています。オレもぜひ連れて行って欲しいとしつこくお願いしているんですが、どうやら教えてくれそうにありません。とても残念です。
それから、身体の付き合い自体は、伯父が大学を卒業する頃には自然消滅していったと聞いています。
ナオさんも、かなり奔放な方だと聞いていますから。伯父に監禁調教されたのは、好奇心を満たすためであり、伯父のことを本気で好きだったとは、伯父も考えていないようです。
伯父が就職してから忙しくなり、ナオさんも他の遊び相手に移ったのだろうと勝手に想像しています。
あと、伯父は自分の事を、本来は異性愛者だと言っていました。ナオさんとセックスができたのは、当時のあなたは女装すると、まるっきり女性にしか見えないほど、可愛らしい容姿だったからだそうですね。
そんなことを聞くと、益々ナオさんとお会いしたくなります。
伯父もそう背は高くありませんが、ナオさんはさらに低く、ナオさん自身が元々女装を好む方だったということもあり、そっちの恰好だったらやってもいい、と遂に言わせたそうですね。
どれだけしつこくお願いしていたんでしょう、ナオさん。あと、本当にこんなこと、言ったんですか?
「性癖の壁を破ったんですから、勝也先輩のお尻の壁もついでに破りましょう、とか言ってきて、マジであいつとやったこと後悔したわ」
あの時、オレは爆笑しすぎて、伯父に頬をつねられました。
そんな伯父の物言いから、オレはナオさんのことを、天真爛漫で明るい方だと想像しています。
そしてオレは、ナオさんに感謝しています。伯父が初めてセックスをした男性が、あなただったからです。伯父の性癖の壁を破っていただき、ありがとうございました。
さて、話がかなり逸れましたね。オレがナオさんのことを、どの程度まで聞かされているのか、これでお分かりいただけたと思います。次は、オレの話をしないとね。
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