第7話 聖女は汚され落ちぶれる

俺はフローラの首の近くで寝ていた。


首はまだ原型をとどめていたが沢山の石をぶつけられあちこち穴が空いていた。


腐るのは時間の問題だろう。


そうなる前に来るのを待っていた。


盗賊ギルドで聞いた話では「慈愛に満ちた人間」そう聞いた。


そして、このフローラの親友だとも聞いた。


そいつは悪いのか?


悪く無い可能性が高い..止めようとしていた、そう聞いた。


だがな、お前は間違えたんだ...止めるのが遅すぎたんだ。


あの三人の中でお前だけが常識人だったんだ


もし、お前が


「間違っている」


その一言を言っていれば、何も起きなかったかも知れないんだぜ..



(やっぱりきた、俺の勝ちだ)


「何をしているんだ? 聖女レイラ様?」


「此処までする事は無いじゃないですか? フローラ様は死んで貴方には金貨20枚が払われた筈です」


「そうだな、だがあの時に何人死んだ?」


「えっ..3人..3人なのに..20枚...」


「解ったか?俺の大事な女の分は何も無かった..何もな!」


「だからって、死んだ人間に此処までする必要は無い筈です、貴方には人の心という物が無いのですか!」


「お前らにも無いだろう? 王女は死んだから責任はとったのかも知れない..だがお前も勇者も生きている..平等というなら死んでくれ!」


「私は生きて償います、その代わり..」



「お前はもう終わっているんだよ! 犯罪者が」


「犯罪者、私が..ふざけないで下さい」





「良いか良く聞け、トムもオルトもミーシャも何も盗んで無かったんだ、それなのに間違って殺された」


「それは私達の過ちです..認めます」


「お前は何を持っているんだ?」


「貴方が、弄んだフローラ様の首です..これから私が葬ってあげるのです..」


「それはな、俺が正式に王様から謝罪として受け取った物だよ..書類もあるんだぜ..それを持ち去ろうとしたんなら、盗みだな」


「そんな」


「なぁ、聖女様、盗んでもいない、トムもオルトもミーシャも疑いだけでお前らは殺したんだ..本当に盗みを働いたお前は殺されても文句は言わないよな?」



「まだ、盗んでないわ..」


「こんなに証人が居るのに?」



周りには沢山の人間が居た..


「俺たちが見届け人だ、確かに盗みを働いた所を見たぞ」


「その首は間違いなく、マモルの物、言い逃れは出来ない」



「嵌めたのね..良いわ衛兵を呼びなさい」



「呼ぶかどうかはこっちに権利がある..今回は呼ばない」



「そう、私を殺すのかしら、そんな事したら世界が大変な事になるわよ!」


「そんなのどうでも良いんだよ..殺しはしない..お前はな」



「そう、なら良いわ..ちなみに犯したら聖女の能力が無くなるから世界が困るわ..精々が暴力しか出来ないでしょうね」



「どうでも良いんだ..俺には...それ」


「嫌いやぁああああああっ」


俺はレイラの服をひん剥いた。


「犯せなくても、幾らでも辱める事は出来る」


最後の一線は越えて来ないそう思っているんだろうな


「そう、それが貴方の狙いな訳ね..良いわ..やれば良い..いつか後悔させてやる」




「連れていってくれるかな」




「嘘よ、嘘、そんな事したら私の能力が無くなるわ..世界が」


「俺たちには関係ない..精々楽しませてくれや」


「聖女か、これは死ぬ前に随分と楽しませそうだな」


「これでお金迄くれるんだぜ..マモルはよ良い奴だ」



「いあやああああああああああああああああああっ」



男10人に犯させた。



女神ノートリアは処女神だ、聖女は処女で無ければその能力は失われる。


結婚するまで清い体でいて、婚姻の時には次の聖女に能力を引き継ぐ。


引き継がないで処女を散らしたから恐らくこの世界にもう聖女は現れないかも知れない。



「これで..終わりよ、勇者を助ける聖女はもう現れないわ..あははははっ、貴方のせいで世界はより魔族に有利になるの...貴方は人類の敵だわ」



「悪いがまだ終わりじゃ無いんだよ」



「嘘よね..嫌、私はもう終わっているわ..もう何も出来ない普通の女なのよ、それに私は何もしてないじゃない..寧ろ止めたのよ! 許してよ..聖女で無くなったし、私はもう惨めな生活しかない..良いでしょう..ねぇ、また犯すの..嫌ぁ」


「犯しはしない..もうお前なんて誰も抱きたいと思わない」



「嘘嘘..いやあああああああああ、痛いいやああああああ」



次に用意していたのは「刺青師」だ、大きく背中と額に「性病女抱くと死ぬ」そう彫った。



「もう終わりなの..何を彫ったのよ..」


「ああもう終わりだ、お前から何かしてこない限り、俺からはもう何もしない」




「そう、貴方なんかに関わらないわ..」


「お前は、確かに何もしなかった、これで良い..ただ言わせて貰えば、「止める力があるのに止めなかったからこうなった」それだけだ」


「そうね...」



「ほらよ、欲しかったんだろう...やるよ」


「フローラ..?」



「俺は仲間を葬る事は出来た..だからこれは返してやる..葬ってやれば良い」


「そう...いくわ」



「あと、選別にこれをやる..葬った後に見ると良い」


「そう...」



トボトボとレイラは出て行った。


大事そうにフローラの首を抱えて。






もう、レイラは長くない、レイラを犯した男は重度の性病患者でもう幾ばくも生きれない人間だ。

この世界の神は処女神、だから性的な事を嫌う。

その為、性病の治療技術は元の俺の世界はおろか、中世より遅れている。

性病の治療は教会に頼むしか無いが、此処まで複数の性病を移されたら教会でも間違いなく治せない筈だ。


それ以前に聖女の能力を失ったレイラが教会に性病の治療になんか恥ずかしくて行けないはずだ。


これでミーシャと同じだ、皆んなから嫌われて、触られる事も拒まれる。


そして長くは生きれない。


ミーシャの人生を味わってみろ..


そんな状況でも善人で居続けられて人を救うなら、俺はお前を聖女と認めてやるよ。





レイラはフローラの首を見晴らしの良い場所に埋めた。


(あんな、男がくれた物だ碌でも無い物なんでしょうね)


レイラは包みを開いてみた。


(嘘? 手鏡..嘘、嘘、嘘..)


「嘘よ..嘘..嘘..こんなの嫌ぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁー」


元聖女の泣き叫ぶ声が丘に響き渡った。




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