第17話 県立本多図書館
「私、一回来てみたかったんだ!」
リンはお父さんの
「すごいよね! この図書館! お父さんの持っている
でも、この
きっと図書館の休憩室なら涼しいはずだ!
休憩室は建物に興味のない僕でも思わず「わお!」と声をあげてしまうほどかっこいい空間で、天井がまあるくドームのようになっていた。それに思った以上に広くって、ジュースの
「
まさやんがウォーターサーバーの水を水筒の中に入れながら僕に言う。僕も、まさやんの後に水筒に冷たい水を
「お兄ちゃん達、
「ほんとだよ。てか、図書館ってこんなに人がいるものなの?」
「この図書館はすごく人気なんだから! それに夏休みの
「へぇ、リンちゃん物知りだね」
「うん! こないだテレビの特集やってたの見たの! あ、それよりも! ここで探すマークのことなんだけどね」
リンはリュックの中からまた
「この三つ模様のうち、ひとつはお兄ちゃんが見つけたマンホールのカニ。それがこれね! で、残りの二つなんだけど、ひとつはこのぐにゃぐにゃした模様で、もうひとつは、なんか丸っこい模様でしょ?」
「「「「うん」」」」
「で、実は私、こっちの模様、なんとなく分かるかもなんだ!」
「うっそ! それってすごくね? もうすぐにでも見つけれちゃう的な!?」
「リーくん、そうなの。お兄ちゃんがさっきの公園でマンホール見つけたから
「「「「脳みそ?!」」」」
「脳みそってあれだろ? 頭の中に入ってる?」
「そう、ここに入ってる脳みそ! お父さんの部屋の中にあった
「リンちゃんすごいね、そんなお父さんが読むような難しい本、読めるの?」
「うんうん!」
「読めると言うか、面白くって見てたの。それで、お父さん、これって何? って聞いたことがあるんだよね」
「じゃあリン、そのお父さんが持っていた本をこの図書館で見つけれれば、変な模様二個目コンプリートってことじゃん!」
「「「うんうん!」」」
「多分ね!」
「「「「すげぇ!」」」」
だからはやく探しに行こうよとリンに言われ、急いでおにぎりを食べた僕たちは、休憩室を出て図書館の
「ガチでこんな
「しぃー! リーくん、声が大きいって! ここは図書館なんだから」
「うん」
「ほら、こうちゃんのうんくらいの声じゃないとダメだって。で、
リンが難しそうな本のページをめくり、探し当てて指を差す場所を見ると、本当に探している変な模様のようなイラストがあった。
「めっちゃこれじゃん!」
「しぃー! お兄ちゃん、バカなの? 大きな声はダメだってば!」
でも、これほんと、見つけようとしてるマークそのまんまな気がするし!
「リーくん、これスマホで写真撮ってくれる? こっそりだよ? 写真とかきっと撮ったらダメかもだから!」
「お、オッケー……」
——カシャッ! カシャッ! カシャッ! カシャッ! カシャッ! カシャッ!
「あ、ヤッベ!
「「「「しぃーっ!!!」」」」
連写モードの音がやけに
「ガチでごめん!」
「大丈夫、バレてないから! これで二個目の変な模様ゲットだね!」
リンが小声で
次なる
知恵神社へはバスの乗り換えをしなくても県立本多図書館から一本で行くことができる。リーくんがスマホで調べると知恵神社までのバスが来るまでまだ三十分はありそうだった。
「
僕の
僕たちはそれぞれ好きなフレーバーのアイスクリームを
時刻は午後二時十分。
タイムリミットを表示するポケベルの残り時間は49時間を切っていた。
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