第16話 海原展望公園
「ウヒョー! ガチ、すげえいい
リーくんがいうように芝生広場からは、広い海が見える。僕の住んでいる街には海はないけど、ずっと先に見える
「お兄ちゃん、向こうのほうに見えるあの辺がおばあちゃんちだよね?」
「うん。お母さんは今日あそこにいるんだよな」
お母さんは僕たちが出かけた後でおばあちゃんの家に行くと言っていた。お母さんのことを思い出したら、なんだか不安な気持ちも
「お兄ちゃん、
リンがおばあちゃんちの方を見つめたまま僕に言う。それを聞いて僕の中に、お兄ちゃんとして何がなんでもサイバーテロを止めてやるって気持ちが
「ようし! まずはもっかい
僕の言葉に、リンは大きく「うん!」と
僕たちはコーラで浮かび上がってきたあの変な模様をもう一度確認する。
僕たちが探す変な模様は三種類。変なぐにゃぐにゃした線で書かれていて、時々太くなったり細くなったりしている。三種類とも元々は丸い模様のようで、きれいに半分に切れていた。
「俺っち、スマホでこれ
「じゃあ、紙は私が持ってるから、
「「「
僕たちは海原展望公園のあちこちに散らばって変な模様を探す!
リーくんはすぐそばの木でできたアスレチックの近くを探している。いつもは大人気のアスレチックだけど、今日は暑すぎて誰も遊んでいないみたいだった。そういえば、海原展望公園内にも今日は僕たちの他に、人が少ししかいない。暑い日にわざわざこんな
こうちゃんは木がたくさん生えている小道に入っていった。その先には海を眺めながら
僕は駐車場へ向かう階段近くの水飲み場と、そこから少し歩いた先のトイレの周辺を調べることにした。
「まずはトイレの中かな」
男子トイレの中は熱気でトイレの
「まあるいってだけで探してる模様ではないとは思うけど、
近づいてみると、それはマンホールだとすぐにわかった。道路とかによくあるやつで、大雨が降るとたまに水が
「ん? 何の模様なんだろう?」
僕は息を止めてトイレの手洗いから水を手で何度かすくい、そのマンホールの上にぶっかけて、なんの模様が
「これって……もしかして、カニ?」
「ガッくん見つかったぁ? 俺っち暑すぎてもう探すのやになっちゃったぜ!」
「あ、リーくん、いいところにきた! あのさ、スマホ見せてくれない?」
探すのを
「どう思う?」
「や、ガチ
もう動きたくないというリーくんを男子トイレの前に残し、リンを公園内から探して連れてくると、リーくんがスマホでマンホールの蓋の写真を撮っているところだった。
「リーくん、スマホで今撮った写真半分くらいになるように拡大できる?」
「
リーくんのスマホ画面に半分に映ったマンホールの蓋と、リンが持っている紙を
「お兄ちゃん、きっと、これなんじゃないかな。だって、他にはこんなに似てる模様なんてなかったし……」
「リン、てことは?」
「お兄ちゃん! 変な模様ひとつ目ゲットだね!」
「いえーい!」
——パチーン!
ハイタッチでリンと手を合わせ、みんなを呼び戻してから僕たちは次の目的地、
県立本多図書館に行くには、また小山駅行きのバスに乗って、そこから乗り換えて行かなくちゃいけない。
「ガチすぐじゃん! あと三分でバス来ちゃうって!」
僕たちは急いで階段を駆け下りて、海原展望公園の駐車場にあるバス停に向かった。
現在時刻は十一時三十分!
タイムリミットまで約51時間だ!
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