第7話 怪盗キューピー
真っ黒だったリーくんのスマホ画面に少しづつ動きが見える。
「ガチでヤベェ、これって大丈夫なんかな?」
「しっ!静かに!リーくん、スマホの音量マックスにして床にスマホ置いて。そうしたらみんなで
リンにそう言われて、急いで僕たちはリーくんが床に置いたスマホの周りに座り直した。スマホの画面はだんだんと明るくなっている。そして、見えてきた黒い
「マジウケる。なにこの
「だよね」
「うん」
「リン、これってさっき言ってたウィルスなのか?!」
「しっ! 静かに!」
リンに
影絵のようになっているその人影が、それが話を始める合図でもあるかのように、足を組みなおす。僕はドキッとして、ごくんと
『ここにたどり着いたと言うこと、まずはそれを
ボイスチェンジャーを使ったようなデジタルな男の人の声が聞こえ始め、僕たちはみんなで顔を見合わせてから、またすぐにスマホを見た。
『我が名は
「どういう意味なんだろう?」
リンがつぶやく。スマホを見つめる僕たち。この
シルクハットをかぶった黒い人影は、くるっと椅子をまわし、その反動で人影がつけているマントがふわっと動いた。
いまのもなんか、すごくかっこいい!
椅子が元の位置に戻り、また足を組み直す人影に興奮しつつ、
黒い人影は両手を広げ、次の話をしはじめる。黒い人影のやけにオーバーなジェスチャーが僕のワクワク感を高めてくる! 僕は出来る限り体を
『だがしかし、お前はなかなか行動力がある。この動画にたどり着くことができたのだ。お前がいま作っているシステムを
そこまで話したその人影はすくっと立ち上がり、着けているマントをバサっと思いっきりひるがえした。そして、そのマントの黒い影が画面いっぱいに広がった
「うっそ、マジですごくね?」
「うん」
「なんか、ちょっとかっこいいとか思っちゃった」
「まさやん、僕も!」
「もう! お兄ちゃん! バカなの!? 今の話聞いてた? 猶予は三日、それまでにお父さんの作っているシステムのなにが悪いのかを見つけて、こいつにたどり着かなきゃ、お父さんの会社のシステムはぶっ壊されちゃうんだよ!」
「お、おう、そうだなリン!」
「でもさ、なんかすごいかっこ良かったよね!」
「うん!」
「めっちゃ映画でも見てる気分だった! 俺っち
「もう、そんなこと言ってる場合じゃないってば! でも、変な
「「「「だろ?」」」」
「と、とにかく! なにがなんでもこいつを見つけ出さなきゃダメってこと!」
「そうだな! こんな面白いやつ、絶対見つけ出したいよな!」
リーくんがそう言って、もう一回観てみようとQRコードをスマホで読み込んだ。でも、さっき見た動画につながることはなく、僕たちはとってもがっかりした。
「ガチで? 一回だけってせこくね? こんなことなら
「ほんとそうだよね! でも、言いたいことはわかったわよ。いま手元にあるヒントだけで怪盗キューピーにたどり着かなきゃ、お父さんの作ってるシステムも、お父さんの会社のシステムもぶっ
僕たちはみんなで顔を見合わせて、うんうん頷き合い、
この怪盗キューピーを絶対に見つけ出し、お父さんのシステムを守るんだ!
「お兄ちゃん達! 絶対見つけ出そうね! セーノ!」
リンが大きな声でそういうと、僕たちはさっきつけたばかりの
「「「「「ガッチーズ!」」」」」
みんなの手の熱を感じながら、僕はこんなに楽しいことってゲーム以外にもあったんだ! と思った。
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