初めての眷属
「はい、起きました。」
「ご飯できたってお母さんが言っていましたよ。それよりけがは大丈夫ですか?」
「ああ、ちょっと待って」
俺は自分の掛け声とともにベッドから立ち上がった。
「ほら、この傷の事だろ、大したことないよ。むしろおばあさんを助けた名誉ある傷だから。誇らしく思うよ。」
そう言って俺は足のところにできた傷を見せた。
「まあ、こんなことどうでもいいか、早くした行こう。」
「そうですね。」
そう言って俺らはリビングに歩いて行った。
「「「「いただきます」」」」
俺らは食卓を囲んで、食事をしていた。
そんな時口を開いたのは俺のお母さんだった。
「まさかあのいっつも家に引きこもっていた廉ちゃんがこんなかわいらしい彼女を連れてくるなんて。」
「う、ッぐ、」
俺はその言葉を聞いた時驚きのあまりにのどに詰まってしまった。
俺がこんな美人と付き合えるはずないだろ。
「母さん、俺は奏とそんな関係じゃないよ。」
俺は必死に弁解しようとしたけど、奏は一個も反論をしていなかった。
もしや俺のことが本当に
『それは無いと思います。』
やっぱりそうですよね。あんまり想像しすぎないようにしようと思います。
そんなことを考えていると奏が口を開いた。
「すいません。私と廉さんがそのような関係だったらよかったかもしれないんですが、私たちは最近あったばかりなのでそういう関係にはなっていません。」
「そうなの、奏ちゃんにだったら、廉ちゃんをいつ任せてもいいんだけどね。」
「そうだぞ、奏ちゃん廉はこういうやつだけど根はいいからな、優しくやってくれ。」
「はい、ぜひそうさせてもらいます。お父さん、お母さん」
そんな会話が続いていたので、俺は急いで食事をとって、部屋に戻った。
俺は部屋に戻るとTINEで奏に一通のメッセージを送っり、俺はいつものようにダンジョンを展開して、ゴブリンを狩っていった。
******
「あ、もう来ていたんですね。すいません、遅れてしまいました。」
「いや、全然大丈夫だよ。ていうか俺が早く来すぎたこともあるし、奏も普通に五分前に来ているしね。もうお昼の時間だし、何か頼もうよ。まあ俺はこの前と同じのを頼むんだけどね。すいませんサンドウィッチとコーヒーをください。」
「私も同じのをください。」
「少々お待ちください。」
俺らはカフェ小枝に来ている。
今日はある話をしたかったからここに来ているんだ。
『そんな、もったいぶらずに言いましょうよ。奏さんを眷属にしようとしているって。』
ばか、今から俺が言おうとしたのに。
そうだ、さっきゆずが言ったとおり俺は今日この話をするためにここに呼んだんだ。
「奏さん!」
「はい?」
「僕の眷属になってください。」
俺は決意し、奏へ話すことを決めた。
「どういう意味ですか?」
『マスター、過程をとばしすぎです。このままだと築き上げてきた信頼もすべてパーですよ。』
「別にそういうやましいわけじゃないんです。これは話し始めると早いんですけど、かくかくじかじかでしてね。」
俺は神様にあったこと、スキルをもらったことなど話していった。もちろんゆずの話もな。
俺が話し終えてしばらくたつと奏が口を開いた。
「わかりました。最初は言われたときはもう絶交しようと思いましたけど、最後まで聞いて、ある程度事情は分かりました。いいでしょう。眷属になります。」
「本当にいいのか?これから危険なことが起こっていくかもしれないんだぞ。」
俺は奏の本当の気持ちを確かめるために、念を押した。
「大丈夫です。何か楽しいことが起こりそうだと思うんで、私も一緒に廉さんと冒険したいんです。」
「わかった。奏を眷属にする」
「・・・」
うん、特に何か特に何か変わったっていう気はしないが
『おめでとうございます。眷属を一人仲間にしたのでダンジョンマスターの新たな機能が追加されます。』
ほんとに?どんな能力なんだ?
『スキルを付与できることになりました。』
付与?どういう意味なんだ?
『自分や眷属にスキルをつけることができるようになりました。』
なるほど、わかりやすい。じゃあ無限につけられるってことか?
『そうですけど、そんなことはありません。スキルを得たり、付与したりするときにポイントを消費します。』
じゃあポイントっていうのはどうやったら手に入るんだ?
『ポイントは魔物を倒すことで手に入れることができます。』
何、今まで自分の成長の為と思って何とか我慢しながら、魔物を狩っていたのに、これからはポイントを貯めて、スキルを手に入れるためという目的をもって倒すことができるなんて。
これが社会人になって感じる仕事のやりがいというやつなのか?はやくDPを貯めたくてたまらない。
『あのですね。全部私に筒抜けなんですよ。少し恥じらいを持ってください。それとあなたは今ずっと死んでいるかのように止まっているんで奏さんが心配していますよ。』
何?それはまずい
「あの、廉さん大丈夫ですか?今まで全然動いていなかったですけど」
「あー、ごめんごめん。ちょっとぼーっとしてた。」
「そうなんですね。もう少しで救急車を呼ぶところでしたよ。」
あぶねーいきなり意識が戻ったら救急車の中とか死んでもいやだわ。
「もうすっかり日が暮れてきましたね。」
「確かにそうだな。そろそろ家に帰るか。あ、でもちょっと寄りたいとこがあるんだ。」
「どこにですか?」
「それは奏のこれからの仕事についての事さ。」
「確かに私も仕事をしないといけないですしね。あれ、そういえば廉さんって何か仕事をしているんですか?」
「ギクッ、え~っとね、そう、俺はいつ神様からお願いが来ても動けるようにしているんだ。」
「そうなんですね。でも仕事用具って私はこれから何をするんですか?」
「ん?ああ、そういえば言っていなかったね。奏はこれから歌手になるんだよ。」
「え~~~!」
そんなに驚きだったか?俺は悪いことしたか?
これは今世紀最大の叫びだったと思う。今までで聞いたことのない大声量が聞こえてきた。
「すいません。つい驚きのあまり。でも私、人前で歌ったこともありませんし。」
「それなら、大丈夫だよ。最初のほうは動画投稿をメインでやっていく感じにしようかと思っているから。」
「なら、大丈夫ですねと言うと思いましたか?」
「うん」
「・・・わかりました。買いに行きましょう。」
そう言って俺らはカフェを後にし、家電製品が売ってある森田電機に行き、動画投稿のために必要なマイク、パソコン、その他もろもろ買っていった。
******
「ただいまー。はぁはぁ重かった。」
「あら、お帰り二人とも何しに行ってたの?」
そう言って玄関に顔を出した母さんが尋ねてきた。
「奏の仕事のために必要なものを買いに行っていたんだ。」
「そうなの、もうご飯の準備できているから、手洗ってきなさい」
「わかった。」
俺らは手を洗い、テーブルの前に座った。目の前にはおいしそうなエビフライが・・・一個ぐらい
『ダメです。待ちましょう。』
でも、一個だけなら
『だめです。みんなで食べましょう。いいですか?』
わかりました。
「みんな、席に着いた?じゃあいただきます。」
「「「「いただきます。」」」」
我が家の当たり前の日常がそこには広がっていた。
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