戦闘開始

「なあ、本当にこんな格好で大丈夫なのか?」


そう言っている俺の服装は、上下一式のジャージ、手にはよくわからない鉄の棒を持っていた。


俺の目の前には棍棒を持った気味の悪い緑色のゴブリンがいた。


「グギャギャグギャ」


ゴブリンが鳴きながら俺の方を見ていた。


どんなふうに俺を捉えてきているのかがなんとなく伝わってきた。迫力が違った。本気で俺を殺しにくるような目で俺を見ていた。


ただ恐怖心はわかなかった。ただ相手をどう倒そうかということしか考えていなかった。


理由はなんとなくわかっていた。冷静というスキルのおかげだろう。このスキルのおかげで今も冷静にいることができている。多分神様が考えて、俺にこのスキルをくれたんだろう。


こんなことを考えてるうちにゴブリンがじりじりと俺のほうに近づいてきていた。


お互い様子を伺うように相手を見ていた。そして両者一歩も動かず、時計の秒針が動く音だけが響いていた。


そして先に動き出したのはゴブリンだった。


「グギャグギャ」と言葉を発すると


いきなり俺の方へ走り出してきて、持っている棍棒で殴りかかってきた。


とっさの行動に俺は慌てたが、なんとか鉄の棒で相手の攻撃を受けることができた。


けれどゴブリンの方が力が強かったのか、俺は壁に投げ飛ばされ、その衝撃でガラクタがあたりに散らばった。


「ぐはっ」


壁に当たった衝撃で声が漏れた。すぐに攻撃してくると思ったがゴブリンは俺を敵とも思っていないのか、俺に攻撃を仕掛けてくることはなかった。


相手と思われていないのは悔しいが不幸中の幸いだ。そのおかげで俺は何とか立ち上がることができた。


俺はゴブリンの前に立ち、もう一度棒を構えた。両者睨み合っていた。しばらくこのままの状況が続くと思いそのうちに俺は鑑定を発動させた。


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[名前]名前なし

[種族]ゴブリン

[年齢]5

[身長]152

[称号]

[レベル]1

[力]20

[知力]3

[速さ]8

[防御]8

[魔力]0

[スキル]棍棒術

[弱点]お腹の中心


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「弱点は腹の中心?」


そこを狙えばいいのか?でももし急所じゃなかったら……


悩んでても仕方ない。もうここまできたら一か八かだ。


ゆっくり、ゆっくり、時間をかけて俺は相手のすきを狙った。


両者睨みあっている状態が続いているとき。


ゴブリンがさっき俺が壁にぶつかったときに床に落ちたガラクタによって体勢を崩した。


俺はその瞬間を見逃さなかった。俺はその瞬間ゴブリンに向かって走り出し、俺は頭めがけて棒をフルスイングで振った。俺とスピードが同じだったゴブリンがこの速さに対応し、こん棒で受け止めようとした。


「かかったな」


俺はあまりにうまくいきすぎて少し笑みがこぼれた。


すぐさま俺は頭を狙うのをやめ、ゴブリンの腹の中心に俺の全体重をのせるように鉄の棒で殴りつけた。するとゴブリンは腹お抑えてもがき苦しむように倒れ込んだ。


俺はただひたすらに倒れているゴブリンを殴り続けた。


「バン、ガン、ボコ」


そして俺の頭の中で一つの音がなった。


レベルアップしました。


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[名前]小林 廉

[年齢]30

[身長]158

[職業]無職

[称号]初めて魔物を倒したもの

[レベル]2

[力]10

[知力]20

[速さ]8

[防御]5

[魔力]0

[SP]15

[ユニークスキル]鑑定[極] ダンジョンマスター

[スキル]new棒術 冷静


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ステータスを閉じた。あとふと目を動かすと、そこには死んで緑の血が出ていたゴブリンがいた。


俺はそれを見たあと自分でやったことに気づいた。


猛烈に吐き気がもよおしてきて、急いでトイレに行って吐き出した。


今になって自分のやったことに気づいた。


「俺が殺したんだ。」


吐き気が止まらなかった。今日食べたものをすべて出しても止まらなかった。


『元気出してください。最初はだれだってそのような状態になります。

人間のような生き物だけれどアリよりも人間に害を与えます。あなたが倒したことで一人の命を救えるようになった。そう考えましょう。』


ゆずの言葉で心の落ち着きを取り戻すことができた。そして自分がいかに弱いかを知った。


これから毎朝自分が成長できるようになるためにトレーニングをしていこうと決意しベッドに行った。


俺は横になり、気づいた時には俺の意識はもうなくなっていた。

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