第60話 彩葉の過去③ ※百合先輩視点


 里帆ちゃんと百合を高め合ったことで信頼関係が生まれた私たちはホームセンターに足を運ぶ。

 目的は私を弄んだ奴らの復讐をするために必要なモノを探し求めるためだった。


「いろちゃん。何を買うの?」


「忘れないようにメモに書いたんだけど、どこにいったかな。あ、これだ」


 カバンをゴソゴソと探って一枚のメモ用紙を取り出した。


「ふむふむ。インシュロックってなんだっけ?」


「結束バンドって言うのな? 確か、こっちのコーナーだったかな」


 二人で買い物をして会計へ進む。合計で一万円ほど。中学生が出す分としてはかなり痛手の出費だ。だが、これくらいの出費、復讐をするとなれば安いものだ。

 必要なモノはこれで全部。


「さて。モノは手に入ったことだし、早速準備に取り掛からないとね」


「ねぇ。いろちゃん。本当にやるんだよね」


「当たり前でしょ。ここまできたら絶対に引き下がれないんだから」


「分かった。私も協力する」


 こうして私たちはとある準備を進めた。そして数日後、私は決行の日を迎える。

 誘い出すのは簡単だ。


『もう一度、私を滅茶苦茶にして』


 それだけで簡単に乗ってきたのだ。そして場所は理科室を指定した。


「まさかもう一度犯してほしいなんてとんだ変態女だな」


「まぁ、遊べるのに越したことはない。とことん遊んでやろうぜ」


「先生にチクるかと思ったけど、何も言ってこないことを考えるとワンチャンあるかもな」


 上機嫌で以前、私を犯したサッカー部の連中がゾロゾロと理科室に入ってきた。

 勿論、その中にも坂本もいた。

 また楽しめると馬鹿笑いしているのが鼻に付くが、これから始まる絶望に恐怖してほしいところだ。


「来てくれたんだね」


 私は理科室の中央に佇んでいた。

 全員が入ったことを確認して指パッチンを鳴らす。


 ガタン!


「何だ? 扉が急に閉まった。くそ。開かない。どうなっているんだ」


「内から開けられないのか?」


「鍵は開いているんだ。誰かが外から抑えているんだよ」


 慌てる男子供に向けて私は「無駄だよ」と言い放つ。


「近藤。お前、何をしたんだ」


「まんまと騙されて来ちゃって。おバカさん。あなたたちは私の復讐が終えるまで誰一人ここから出られない。残念だったね」


「ふん。何を言ってやがる。俺たちを閉じ込めたところで状況は変わらない。女一人で俺たちに何ができるって言うんだ。おい、お前ら。遊んでやれ」


 坂本の命令でサッカー部員たちがゾロゾロと私に群がる。

 数で掛かれば勝てると踏んでいるのだろう。


「これでもくらえ」


 私は紐を引いた瞬間、天井に仕掛けられていたタライから水が一気に溢れた。

 水はサッカー部員たち全員に降り掛かった。


「ぐえ。くさ! 何だこの水」


「生ゴミを漬けた天然水だよ。いい気味」と私は嘲笑うように言う。


「テメェ。これくらいで良い気になるなよ。全員で掛かればお前なんて……」


 一人が私を捉えようと掴みかかったその時である。

 私は懐に忍びこましていたスタンガンをぶつけた。


「ぐわわわわ!」


 一人が感電したことで水を伝って全員に感電が伝染する。

 身体の神経を奪ったことで私はインシュロックを取り出した。


「さて。今のうちに」


 私は全員の手足をインシュロックで縛った。

 そしてズボンを脱がして下半身を丸出しにしてやると再び水を顔にぶっかけて無理やり起こした。


「ぶへ! ゲホ、ゲホ! な、何だ?」


「おはようございます。諸君」


 自分たちの姿を認識したサッカー部員たちは激しく抵抗する。


「テメェ! 何をしやがる」


「何で被害者面しているのよ。私が被害者なんだけど?」


「いいから解けよ。ぶっ殺してやる」


「いいのかな? 私にそんな口の利き方をして」


 私は用意していたペンチを取り出してカチカチと動かした。


「お、おい。何をするつもりだ」


「何って別に知る必要ないでしょ。私にした行為を深く反省してね」


「反省する。だから頼む。見逃してくれ」


「えー。どうしよっかな?」


「何でもするから」


「何でも? じゃ、隣のち●ぽをしゃぶってイかせたら許してあげなくもないかな」


「んなこと出来るかよ。男のやつを舐めるのも舐められるのもごめんだ」


「あっそう。じゃ、激痛に耐えるって選択肢でいいってことだ」


 私がペンチを持って近づいたその時だ。


「分かった。やるから辞めてくれ」


「他の人はどうする? 激痛に耐えるか精神的苦痛に耐えるか自由に選んでいいよ」


 私の問いにサッカー部員は目を逸らす。

 他人の反応を窺っている様子である。だが、使い物にならないくらいならと全員が隣のブツを口に咥える選択を取った。私は動画に収めて復讐を果たしたのだ。

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